秋めいてきたある夜のこと、キッチンで夕飯の支度をしていると、外から大きな音が聞こえているような気がした。
雷だろうかと思い、窓を開けて外へ出てみると大きな花火が夜空に上がっていた。
今年の打ち上げ花火は、全て終わってしまっているだろうと思っていたものだから、
ちょっとしたラッキーを手にしたような気分で、夜空に次々に咲く大きな花火を眺めた。
以前、日本の打ち上げ花火は、世界一華麗な芸術美と称されており、
私たちが世界に誇れるものの一つだというお話をさせていただいたことがあるけれど、
その座に甘んじることなく進化し続けていることが分かるような、素敵な花火をたくさん目にすることができた。
それは、どこからでも、その美しさを堪能できる日本の打ち上げ花火だからこその景色だった。
その花火の上空を、飛行機がライトを点滅させながら通過していた。
機内の窓から見る花火もさぞ美しいだろう。
ふと、それならば、ドローンで花火に接近したとき、花火はどのような表情をしているのだろうかと思った。
そう言えば、先日、日本で初めて、小型無人機ドローンの国際レースが開催されたというニュースを耳にした。
その時初めて、ドローンのレースがあることや、
国際レースを運営する国際ドローンレース協会という存在を知ったのだけれども、
その協会が主催する国際レースの本選に出るための出場権をかけた予選会が、日本で初めて行われたという。
レースは、ドローンを時速160キロ近くで飛ばし続けながら、決められたコースを駆け抜けてタイムを競ったり、飛行した周数を競うなど、いくつかの種目があるようだったけれど、
どのレースも、ちょっとした迷いやミスが機体の命取りになるため、手に汗握る、白熱したレースが展開されたそうだ。
人は、手が届きそうで届かないものに魅了される生き物なのだなと、花火やドローンの“今”を眺めながら思った。
花火があまりにも美しかったこともあり、思わずスマートフォンのカメラを起動させたけれど、
モニター越しに眺めて映像や画像に収めるよりも、
肉眼で見て記憶に収める方が良いような気がして、スマートフォンをテーブルの上に置いた夜。
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