幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

寝る前に“今日の幸せの瞬間”をひとつ探してみませんか?

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随分と日の入りが早くなったものだ。
まだ夕方と言える時間帯なのに外はすっかり真っ暗だ。
その日の自分の予定を終えた私は手早く身支度をすませると
コートを羽織り、ストールほどの大きさのマフラーを手に取り家を出た。

目指すは近所にある度々足を運んでいるカジュアルなカフェ。
自宅で丁寧に淹れた飲み物をゆっくりと味わうのも良いのだけれど、
自分以外の誰かが淹れてくれたものでホッとしたい衝動に駆られることもある。
その日はそんな気分だった。

淹れてもらったソイラテを楽しみながら
ふーっと息をつき、しばらくぼーっとする。
行きかう人をただただ眺め、
街中の程よいざわつきを肌で感じ
様々なBGMがただただ右から左へと流れてゆく。

その時、カフェの中のあちらこちらから
けたたましい警報音が鳴り沸いたのだ。
各々が自分の携帯を取り出し眺めている。
私の携帯も同じタイミングでブルブルと鞄の中で震えていた。
慌てて取り出し確認すると、災害時に携帯へ出される避難勧告のテスト配信だった。

完全に自分の電源を落とし
ゆったりとお茶を楽しんでいた無防備な私にとって
心臓がギュギュッと締め上げられたような感覚だった。
災害ではないのだと知り安堵したものの、
目の前にあるソイラテに、直ぐには手を伸ばせずにいた事に後で気が付いた。
明らかに動揺していたのだ。

そんな私に
隣のテーブルで一人でお茶をしていた女性が声をかけてきた。

「びっくりしましたね、何事もなくてよかったけれど。」
「ほんとうに。心臓が止まるかと思いました。」
「だけど、あのくらいの音じゃないとハッとしないものね、きっと」
「そうですね」

けたたましい音に動揺したまま
未だ収まりきらない心の動揺を落ち着かせ合うように
しばらく私たちは何気ない会話を交わした。
そして、彼女が言ったのだ。

「何もないって、幸せですね」と。

そうですね、とだけ返し
それぞれ自分の時間へと戻ったのだけれども
本当にそうだと思った。

毎日新しい朝がやってくることも
実はとても幸せなことなのだ。
当たり前すぎて今はまだ気づいていない日常の中にも
まだまだ、たくさんの幸せが宿っているに違いない。

もしもあなたが、
あなたにとっての幸せの瞬間を一つでも見つけられているのなら
あなたはもっと、見つけられるはず。

もしもあなたが、
まだ見つけられていないなぁと感じているなら、
明日は自分の日常を観察してみましょう。
きっと見つけらるはずだから。

“今日の幸せの瞬間”を毎日ひとつ、
寝る前に探してみませんか?

今日の私の幸せの瞬間は、
「美味しそうに食べてるところ、いいよ~」と言われたことかしら。
いつか、私にも聞かせてくださいね。
あなたの今日の幸せの瞬間を・・・・・・。