幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

子供から学ぶ“日常を楽しむ”ということ

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この季節の雨粒はキリッと芯が冷たくて
あっという間に体を冷やしてしまう。
それでも傘にぽたぽたぽたっと落ちてくる優しい雨音を聞きながら歩いていると
もっと歩いていたくなるような
どこまでだって歩いていけてしまえるような
そんな気分にさせられる。

悴む指先を温めるようにはーっと吐いた息は白く目の前に浮かび上がった。
冬だ、すっかり。

信号待ちをしていると、
視界の右端斜め下に、かわいらしい小さなピンク色の傘が揺れながら入ってきた。
片方の手はしっかりとママに握られて
もう片方の手でそのかわいらしい傘を上下に揺らして遊んでいるようだった。

「ママ、雨がふってよかったね」
「えー帰るの大変じゃなぁい?バスに乗れば良かったかな」
「いーの、歩いたほうが いっぱい雨のお靴と傘つかえるもん。
ずーっとずーっと雨がいーな。
もっと たくさん ふってもいいのにね」

その後のママの声は目の前を通る車の音にかき消されて
私には届かなかったけれど、
小さな女の子はとても楽しそうにそう話していた。

そうだったのか。
上下に揺れる傘がどことなく嬉しそうな動きに感じられたのはそのせいか。
つい気になってチラリと小さな女の子を見てみると
傘にとてもよく似合うピンク色が艶やかな雨靴を履いていた。
きっと買ってもらったばかりなのだろう。ぴかぴかだ。
その履き心地を楽しむかのように信号待ちの間ずっと足踏みをしたり
傘を揺らしたりしていた。
体中から楽しいよ~、嬉しいよ~というオーラが放たれているかのよう。

 

子供は日常を楽しむことが本当に上手だ。
日常というよりは、“今”という瞬間と言った方がいいのかもしれない。
余計な事を考えず、
ただただ真っすぐな眼差しで目の前のことを丁寧に感じて反応する。
本人にとっては特別な事ではなく
“丁寧”を心掛けているわけでもないのだろうけれど
私からみたら、そんな風に思えた。

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大人になるにしたがって
物事をややこしく考えてしまう癖がついてしまいがちだけれども
本当に大切なことは
きっととてもシンプルなのだと思う。
そして、本気で欲すればすぐに手に入れられるような事、
いや、既に自分の手の中にあるものも多いのだろう。

そんな事を思っていると信号が青に変わった。
隣にいた親子が勢いよく一歩を踏み出した。

「ママ、いそご。
 雨のお靴と傘がぬれちゃうよ。早くおうちかえろ」

え??
さっきは、ずっと雨が良いって・・・・・・
傘を使っていたいんじゃなかったのか?!
雨靴を履いていたかったんじゃなかったのか?!
子供って一瞬一瞬に全力投球なんだな。
その豪快な潔さに吹きだしそうになったけれど
今は“今“を全身で感じているのだろう。

人との出会いは人が人を変えていくことでもある。
影響を与えあって、受けあって、新しい変化が起こる事。
たとえすれ違うだけの相手だったとしても。

今日の私は、
あの女の子に“ありがとう”だ。

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