昨年の今頃、友人と久しぶりの再会を喜び、
楽しみながら食事をしていた時のことだ。
何の前置きもなく彼女がこう言った。
「私さ、最近お着替えにはまってるんだ」
「お・き・が・え？？？おきがえって、お着替え？子供の？」
「ちっがう！！私の！」
返答に込められた力強さから、結構夢中になっている事が窺えた。
詳しく話を聞くと、
あまり外出をする機会も無いから
お洒落をする機会も無いと思っていたのだけれど
お洒落をしたい気持ちもある。
だから時間ができると、クローゼットの中の洋服をあれこれ引っ張り出しては
鏡の前で何度も着替えて楽しんでみたのだとか。
これが思いの外楽しく、
回を重ねる毎に似合わないと思い込んでいた洋服が
突然閃いたコーディネートによって新たに蘇る瞬間はガッツポーズもの、らしいのだ。
人の目を気にすることなく、とりあえずチャレンジしてみたり
自分の好みを再確認してみたり。
今はあまり出番はないけれど、やっぱりこのスカートが好き！と思ったりしながら遊ぶのだとか。
彼女はそれを“一人試着大会”、“一人ファッションショー”などと呼んでいた。
その会話自体、すっかり忘れていたのだけれど、ふと、思い出したことがあったのだ。
物は試し、だ。
私もやってみる事にしたのだ。
まずリビングに姿鏡をセッティングしておく。
クローゼットの中を覗き、今一番着たい洋服を選び着てみる。
リビングに置いた鏡の前で見てみる。
いつものコーディネートだ。
安定感はある、だけれどももっと洋服で遊びたい。
いくつか合わせたい洋服が思い浮かび、数着を持ってリビングへ移動する。
数着を手にリビングへ移動している時点で、
私は既にこの“一人試着大会”、“一人ファッションショー”にはまりかけている。
試着室さながら、次々に着替える。
ちょっと新鮮な組み合わせが生まれた。
そうすると、靴や小物も合わせてみたくなりビニールシートを敷いて
リビングで靴も合わせてみる。
思っていた以上に楽しいのだ。
そのような事をしばらく繰り返した。
たぶん、時間にして１５分か２０分程だろうか。
何という充実感、ちょっと目から鱗、だ。
出かける目的があっての着替え。
リラックスする目的での着替え。
子供のように派手に汚したり、何かしらの目的が無ければ
一日の中で最低限必要な着替えの回数は数える程だ。
だけれども、最低限必要、というだけで何度着替えたって良いのだ。
新しいお洋服がクローゼットに仲間入りした日は、
気持ちが弾みますよね。
きっと、お洋服には私たちの心持ちを変える力があるのかもしれません。
長いお付き合いのお洋服にも、
最近仲間入りしたお洋服にも、
お出かけの時だけではなく、袖を通してみませんか？
気分転換ができるのと同時に
新しい閃きを連れてきてくれるかもしれません。
