遠方に住んでいる祖父母ほど歳の離れた親戚から、大きなダンボール箱が届いた。
ずっしりと重い箱を宅配業者から受け取り、ダイニングテーブルへ置く。
封を開けると、中から瑞々しい青ネギのイイ香りがふわーっと広がった。
他にも立派に育ったお野菜をひとつ、ひとつ眺めながら箱から取り出す。
ダンボール箱の中には、趣味で作っているお野菜やお米がぎっしりと入っていた。
ダンボールに隙間ができたのだろう。
作っているはずがない大きなリンゴが二個、中途半端に出来てしまった隙間を埋めるようにして並んでいた。
きっと、自分で食べる為に買ってきていたリンゴを入れてくれたのだろう。
愛情を込めて育てたお米やお野菜に、更に、たくさんの愛情を詰め込んで送ってくれた事が、ありがたくて、嬉しくて、胸が熱くなる。
頑張らなくてはと思う瞬間でもある。
お礼と喜びの声を届けたくて、さっそく電話をかけてみる。
何度目かのコールで電話が繋がる。
名乗った瞬間に、ぱっと花が咲いたような笑顔が浮かぶ元気な声で私の電話を喜んでくれた。
私のお礼の言葉にかぶせる様にして声が聞けて嬉しい、今日は良い日だ、と何度も言われ、
私も、お婆ちゃんと呼ばれるような年齢になった時に、
こんな風に嬉しさ全開で可愛らしく「嬉しい」と真直ぐに言えるだろうか、とそんな事を思った。
それから、今年の冬のお野菜の出来の話を聞いたり、お天気や体調の話、
最近の楽しかった事や、これから楽しみにしているという予定の事などを話した。
私の日常も気遣ってもらって、やっはり、この時代の人たちはすごいと思う。
心が強くてしなやかなのだ、きっと。
私が地元へ帰省するのはもう少し先なので、その時に遊びに行く約束を交わすと、
「また楽しみが出来た」と直ぐに弾んだ声が返ってきた。
生きてきた道のりは、難しい事を語らずとも、本人の意思とは関係のないところで、こうして自然と現れてしまうものなのだろう。
今の私では、当分追い越せそうにない。
ズボラなりに精進あるのみ、だ。
最近連絡を取っていない人に連絡を取ってみませんか?
特別な事は出来ないし、と思っている方、「連絡を取る」だけでも十分特別な事だと思うのです。
私もご無沙汰している大切な方々へ、
メールなり、電話なり、連絡をしてみようかな、と思っている所です。
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