幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

生粋のレイディーズ・ファーストを目にして思うこと。

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根を詰めて行っていた作業が落ち着き、

自分へのご褒美と癒しを兼ねて近所のカフェでお茶をすることにした。

頭の中を空っぽにしたくて

文庫本サイズの空の写真集を鞄に入れた。

気がかりから解き放たれた私は足取りも軽く、

少し冷たい空気を胸いっぱいに吸い込みながらカフェへと向かった。

 

お気に入りの席は既に空いていなかったけれど、

空いた席の中から落ち着けそうな場所を選んで

飲み物とほんの少しの甘いものを注文した。

温かい飲み物で冷たくなった体を温めながら、

持参した小さな写真集を眺める。

「(はぁ~、しあわせ)」

うっかり心の声が出てしまいそうになり、口をつぐんだ。

 

写真集をそっとテーブルの脇に置き甘いものをひと口、口へ運ぶ。

何気なく視線を向けたカフェの出入り口では、

背の高い外国人男性がご年配の日本人女性の為に

ドアを手で押さえているところだった。

とてもナチュラルな笑顔と心遣いに

久しぶりに生粋のレイディーズ・ファーストを目にした気がした。

 

皆さんは、外出先で自分がドアを通ったあと、

その開けたドアを閉める前に後ろを確認されますか?

確認した時に、誰かがすぐ側まで近付いてきていたら、

ドアが閉じてしまわないように押さえておきますか?

 

実はこれはヨーロッパでは当たり前の気遣いなのです。

礼儀だとか、お作法だとか、そのような大げさなものではなく、

朝起きたら「おはよう」と挨拶をするというのと同じくらいのことで

子どもの頃から教えられている極々あたりまえのことなのです。

特にイギリスでは子どもの頃にきっちりと躾られるようで、

一見やんちゃそうな若者でも、

小学生の子どもでも、

自分の後ろから誰かが来ていたら扉を押さえて待っていてくれるのです。

 

この様な気遣いは生活様式に伴って風習として育まれるもの。

今は西洋スタイルの建物が多い日本ですが、

昔の日本のドアと言えば引き戸。

ですから、このような気遣いは、なかなか定着していないのも納得できる一方で

西洋文化も取り入れられ現在は街中の建物は西洋スタイルがほとんど。

その中で、外国の方がこのような日本人を見ると、

西洋スタイルに馴染みきれていない日本人と映ることもあるのだそうです。

 

もともと細やかな気配りや思いやりのある国民性を持っている日本人ですから

風習が無かったというだけではあるのですが、

ちょっと意識してみてもいいのかもしれないな、と思うのです。

 

特にご年配の方や、小さなお子さんに向かって

勢いよく重いドアが向かっていくシーンを目にする時、

ドキッとすることがあります。

このような立ち居振る舞いは結局のところ、

お作法や礼儀として覚えなくてはいけないこと、ではなくて

思いやりや気配りで動くことができれば、

「しなくてはいけない」という窮屈なものではなくなるのだろうな、と

レイディーズ・ファーストを目にして

自分の立ち居振る舞いも振り返りつつ、思ったのでした。

いつも心に余裕をもっていたいものですね。

 

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