そろそろ温かくなってくるのかな、そのような事を思いながら
大きめのマグカップにたっぷり注いだ
温かいオレンジフレーバーのルイボスティを口にした。
そして、デスクにいっぱいに広げた平安文様などの伝統模様の資料と
様々な家紋の資料を眺めては目を閉じて、を繰り返していた。
お仕事の一環ではあるのだけれど、
私にとっては平安文様も家紋もとても魅力的なもので、
お仕事抜きでもつい夢中になってしまうものだ。
個人的な探究心と探求心がダブルでぶわーっと湧きだしそうになるのを押さえて
お仕事モードのスイッチをポチッと押す、
その日は、こんな風に一日が始まった。
平安文様というのは、
幾何学模様を基本にして単純にその模様を繋いでいく模様。
例えば、このような模様です。
このように一つの模様を繋いで作る模様は、
世界各地で生まれていて、
それぞれの国や地域によって様々な意味が込められています。
人には装飾する本能が備わっていると言われています。
古より人は、お洋服や、身の回りの物、住んでいる空間や内装などに
文様を描いて装飾を施していました。
中でも日本の文様は、おめでたい時に飾る文様として、
独自に発展させていったようです。
代表的な模様のをひとつ例に挙げると、亀甲の文様。
これは、日本の文様のルーツと言われる西アジアでは
神秘的な意味合いを持っていて、
日本では正倉院の宝物にも使用されています。
亀甲模様のベースは、この六角形です。
この六角形の中に、
意味のある柄や好みの柄を組み込んだり、
組み合わせたりすることで
よりおめでたい模様にしたり、色合いを楽しんだり、個性をだしたりできるのです。
和装の帯などの模様が一番分かりやすいので、
次の画像を例にあげてみますね。
亀甲模様の中に色々な模様が組み込まれていることが分かると思います。
全体をひとつの模様、柄として見るのも楽しいのですが、
柄を分けて見る事で、隠されているメッセージを知ることができます。
例えばこちらの帯の画像、右の亀甲模様の中に孔雀が居ます。
確認できましたでしょうか?
孔雀は、地球上に存在する鳳凰として扱われていて、
様々な愛、美しさ、幸せ、富、人気、繁栄などを表します。
おめでたい亀甲柄の中に、この孔雀と色鮮やかな花々が配置されています。
このひとつの柄だけで、こんなにも沢山のメッセージが表されています。
少し、模様の見方が変わってくるのではないでしょうか。
お着物は着ないから、という声も聞こえてきそうですが
亀甲模様は時代にあったアレンジが施されたり、
デザイナーによる感性が加えられて新しいカタチに進化したりしながら
私たちの生活の中に今も在る模様です。
このように、昔を生きた人たちも、今を生きる私たちも
歴史ある同じ模様に触れています。
また、この平安文様のことを有職(ゆうそく)文様と呼ぶこともあります。
有職(ゆうそく)文様というのは、
平安時代以降にお家柄や伝統に相応して公家の装束などにも付けられていて
家紋のような役割も果たしていました。
おしゃれとしても楽しんでいた模様(柄)には色々な意味が込められています。
皆さんが目にしたり、手に取ることが多い柄に「タータンチェック」がありますが、
こちらも元は日本で言う家紋のようなものなのです。
※ご興味をもたれましたら過去記事をどうぞ。
今年はファッションにペイズリー柄を取り入れる方もいらっしゃると思うのですが、
ペイズリー柄も海外版の平安文様のようなものです。
何気なく手にしている文様にも、色々な意味が隠されています。
縁起の良い亀甲模様(六角形)を目にされましたら、
その中にどのようなモチーフが組み合わさっているかを見てみたり、
ペイズリー柄を目にされましたら、
きっとその中にもそれぞれモチーフが組み合わされていると思いますので
覗いてみてくださいませ。
もし、無意識に手にしている自分好みの模様に共通点があるのだとしたら、
何か意味がある柄なのもしれませんので、
更に調べてみるのも楽しいのではないでしょうか。
今回は模様の見方のお話でした。
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