今年も市場で、じわじわと見かける機会が増えつつある天然石、ターコイズ。
青い空に白い雲で出来たクリームを混ぜたような
春から夏にかけての空の青とよく似た鮮やかな発色の素敵な石だ。
ターコイズの本番と言えば夏のイメージだけれども
実は１２月の誕生石のひとつでもある。
そして、ターコイズの和名はトルコ石なので、
トルコで採られる石だと思っている方も多いのだけれども、
実際はペルシャやエジプトで採られ、
トルコを経由して地中海方面へと運ばれていたので、
トルコ石と呼ばれるようになったのだとか。
今回は私が体験したターコイズのちょっと不思議なお話をひとつ。
その前に少しだけターコイズの背景をご紹介します。
このターコイズは、古代エジプト初期の王様のお墓や、
インカ帝国の財宝の中からターコイズが多く発掘されたことから、
人が手にしていた最も古い石のひとつとされています。
そして、美しい空を連想させる青い色には
自然の力が宿っていると言われ、とても大切にされてきたようです。
大自然とともに生きるネイティブアメリカンにとっても神聖な石で、
ターコイズは、危険から持ち主を守り、
勇気と共に幸せをもたらすお守り石として
大切にされてきたと伝えられている石です。
彼らは特に真っ赤なサンゴと組み合わせた装飾品を好んでいました。
このような背景を大切にしているデザイナーさんも多く、
また、夏の空気感、温度感に映えるお色みなので
皆さんもターコイズと真っ赤なサンゴの組み合わせのアクセサリーを
目にされたことがあるのではないでしょうか。
石に携わる機会が多いと、
理屈では説明できないような不思議な体験をしたり、
そのようなお話を耳にする機会も多いのですが、
ターコイズは特に多いように感じます。
ターコイズは先ほどお話させていただいたように、
持ち主を危険から守ってくれるのですが、
危険を察知すると変色して知らせてくれたり、
石が欠けてしまったりということがあります。
私自身は、過去に一度だけターコイズのアクセサリーを持っていたことがあります。
それは、友人にプレゼントしてもらったターコイズのブレスレットでした。
繊細なチェーンに小さなターコイズが揺れるように不規則に並んで付いている
シンプルで素敵なお気に入りでした。
ある日の朝、その石のいくつかが変色していることに気づきました。
私の周りでは事故から守ってもらったという話をよく耳にしていたので、
いつもよりも周囲に気を配りながら外出しました。
駅に着く頃にはターコイズの変色のことはすっかりと忘れ
今にも発車しそうな電車に慌てて飛び乗ろうとした時、
少し離れた所から
「ブレスレットを落としましたよー」と大きな声をかけられたのです。
手にしていたバッグの色を名前代わりに呼んで下さったので、
すぐに自分の事だと気づいた私は、目の前の電車を見送りました。
ブレスレットを受け取ってみると
無くなっている石と欠けている石がありました。
私は、落とした衝撃だと思ったのですが
見送った電車に乗っていたら電車事故に巻き込まれていたことを
その後、知ることになりました。
偶然だと言われれば、それまでなのですが
「危険から持ち主を守る」
と言われ続けてきている事は伊達じゃないと感じながら、
私としては、あのターコイズが守ってくれたのだろうな、と今でも思っています。
あの日以降も、お仕事を通して時々、ターコイズに触れることはあるのですが
ジュエリーやアクセサリーとして所持するご縁はまだありません。
私の周りでは、仕事のトラブルが起こる前に
ターコイズのアクセサリーが無くなる（姿を消す）友人がいます。
そして、トラブルが片付くと出てくるのです。
それを何度か繰り返した友人は、
ターコイズが姿を消すと注意を払うのだとか。
すると、トラブルの種を発見するので
落ち着いて対処しトラブルなく過ごせているのだと、よく話しています。
アピールの仕方には、石それぞれの個性があるように思いますが
健気に持ち主に愛情を注いでいることに変わりはないようです。
これからターコイズアクセサリーの季節がやってきます。
ターコイズは、とても繊細でデリケートな石です。
水、汗、化粧品、酸などにも弱いので、
汗ばむ季節は使用後は乾いた布(タオルなど)で
表面の水分や油分、汚れを優しく拭き取ると、劣化を抑えることができます。
汗をかいていないような気がしても
乾拭きのお手入れをすると本来のツヤが長持ちします。
また、衝撃に弱い石でもありますので優しく扱ってあげてくださいませ。
天然石の中から、今回はターコイズのお話しでした。
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