幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

幸せのレシピ集の中で巡る小さな美術館|金魚に命を吹き込む美術作家・深堀隆介さんの世界

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私にはいくつかの好きなモチーフがあるのだけれど「金魚」もそのひとつ。

素朴な金魚や艶やかな金魚、金魚の個性も様々だけれども

あの小さな体から静かに放たれている息吹につい吸い込まれてしまうのだ。

ある日、よく足を運ぶ雑貨店の店主に

「この人知ってる?」と紹介してもらったのが

深堀隆介さんの作品との初めての出会いだった。

一瞬で彼が命を吹き込んだ金魚たちに魅了された。

まずは、彼の作品、彼に命を吹き込まれた金魚たちをご覧ください。

 

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これらは樹脂でできた作品なのですが、

きっと目にした方は、「これ、どうなってるの?」と思われるのではないでしょうか。

深堀隆介さんはご自身のブログで、作製工程を紹介されているのですが、

その作業はとても根気を要するものでした。

使用されている器は、深堀隆介さん自身が実際に使っていた食器や、

骨董店、リサイクルショップで目に留まったもの、

中には道端で拾ったものもあるのだそう。

しかし、そこは美術作家のこだわりがあり、

その器の中に金魚の幻影が見えた器のみを手にするのだそう。

この時点で既に、深堀隆介さんのイメージの中で生まれているのです。

 

この用意した器の中に深さ1センチほど、透明樹脂を入れ、

この透明樹脂が固まるまで2日間待つのだとか。

透明樹脂が固まったらその上にアクリル絵具で金魚のヒレなどを描き

また透明樹脂を流し込み、固まるまで数日待つのだそうです。

2回目に流した透明樹脂が固まったことを確認すると、

今度は胴体を描き、再び透明樹脂を流しいれ固まるのを待つ。

この作業を繰り返しながら少しずつ金魚を描いていきます。

深堀隆介さんの作品は、とても立体的なのですが、

このような作業を少しずつ重ねるからこそ金魚が立体的に仕上がり、

命が吹き込まれていくのでしょう。

 

美しい金魚に魅了されますが、「どうして金魚を?」と思われませんか?

彼は、このように語っています。

 

『ある日、「ああ、もう美術なんてやめてしまおう。」と思った。

自室で、寝転がったとき、ベッドの横にあった小さな水槽が目にとまった。

そこには7年前に夏祭りですくってきた金魚が1匹いた。名前はキンピン(メス)。

たいして可愛がりもせず、粗末に扱ってきたため、水も汚れてフンまみれ、

しかし彼女は生き続け、20cm以上になっていた。

僕は、水槽のふたを開け、彼女を上から見てみた。

そのとき、僕の背筋がゾクゾクっとした。

汚れた水の中で、赤く光る彼女の背中は、怪しく、そして最高に美しかった。

「この子がきっと僕を救ってくれる。」

そう信じて、赤い絵具を取り出し彼女をモデルに筆を走らせた。

楽しい!楽しい!楽しい!

そして、あっという間に金魚の大群が生まれた。〈これだ!〉 

僕の探していた答えが、ヨーロッパでもなく、アメリカでもなく、

まさにこの部屋にあった。

僕は、この日の出来事を「金魚救い」と呼んで大切にしている。』

出典:金魚養画場 美術作家 深堀隆介オフィシャルサイト 

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グッとくる生きた言霊から垣間見えた彼の様々な思いや

もう、こうなることが決まっていたかのようなシチュエーションに

私の胸も熱を帯びました。

立体的な金魚が透明樹脂の中に入れられているのではなく、描かれている世界。

でもそこに居るのは、

手を伸ばせば今にもぴちっぴちっと跳ねてしまうのではないかと思えるほどに

生命力溢れる金魚たち。

深堀隆介さんの作品は、メディアや個展、パフォーマンスなどで目にすることができます。

機会がありましたら深堀隆介さんが命を吹き込んだ

もうひとつのリアルな世界に触れてみてくださいませ。

 

関連リンク:

金魚養画場 - 美術作家 深堀隆介 オフィシャルサイト

画像出典:https://jp.pinterest.com/

 

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