ある日の食事会で、一人の女性がこのような事を口にした。
「私、氷があるとガリガリ食べてしまうの。
お行儀が悪いとは思うけれど止められなくて。」と。
それを聞いたほとんどの人が
確かに、彼女と食事をしたりお茶をしたりすると
必ずドリンクのグラスに入っている氷を
バリボリと頬張っている印象がある、と頷き笑った。
すると、その場にいた医師免許をお持ちの方が「貧血?」と返したのだ。
私は、キャンディーを口にした時に最後まで舐められず、
途中でかみ砕いてしまう方がいらっしゃるのと同じで
「氷をかみ砕いてしまう癖」なのだろうと思っていたため、
彼女の行動と「貧血?」の言葉がリンクせず、
思考が少し間、宙を彷徨った。
その時に私は初めて、
「氷食症(ひょうしょくしょう)」というものがあることを知ったのです。
今回は、そのようなお話を少し。
この「氷食症(ひょうしょくしょう)」は、貧血と併発しやすい症状なのだそう。
人の体は、体内の鉄分が不足すると無性に氷が食べたくなるので、
貧血と判断されるような、めまい等の症状があり、
氷を大量に食べるようになったら「氷食症(ひょうしょくしょう)」の可能性もあるのだとか。
これを聞いた私たちは、彼女程ではないけれど
時々ドリンクの氷をバリボリと食べてしまうことがあると口々に言いだしました。
私も心の中で少々ドキドキしつつ、氷を食べることがあると思っていました。
だけれども、私たちの心配は取り越し苦労だったのです。
どのような人でも、気温が上がる夏はかき氷やアイスコーヒー、アイスティーなど
冷たい食べ物や飲み物を欲します。
冬でも温かい室内では冷たい飲み物や、
その飲み物に入っている氷を食べたくなることがあります。
このように嗜好として氷が好きで食べる人は問題ないのだそう。
一方、季節に関わらず、それ程好きではないにも関わらず
「氷が食べたくて仕方がない」というようであれば気にする必要性があるようです。
「氷食症(ひょうしょくしょう)」は、
1日に製氷皿に1皿以上の氷を食べるかどうかというラインを
目安として判断されるそうです。
どうして、体の鉄分が不足すると氷を食べたくなるのか、
その理由は未だ解明されていないようなのですが、
このような説があるのだそう。
「氷食症(ひょうしょくしょう)」は、鉄分(赤血球)が不足すると、
十分な酸素が脳に行き届かないため自律神経が乱れます。
自律神経が乱れると体温調節が上手く出来ずに
体の温度が上昇するのと同時に口内の温度もあがるため、
無意識に体内温度を下げようとして氷を欲するのでは、と。
貧血、鉄分不足、と聞くと男性よりも女性のイメージが強いのですが、
そのイメージ通り、「氷食症(ひょうしょくしょう)」は男性よりも若い女性に多いのだそう。
近年は約20%前後の女性が「氷食症(ひょうしょくしょう)」の疑いがあるのだとか。
20%と聞くと割と高い数字のように感じるのですが、いかがでしょうか。
特に妊婦さんによくみられるそうですが、
これは妊婦さんの体が、
お腹の赤ちゃんに栄養を渡してしまっているので鉄分が不足しがちになるためだと考えられています。
心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、
妊婦さんは栄養にも気を配られますし、一時的なものなのだそう。
何より医師のチェックのもと、ケアもこまめに行われているはずですので
問題ないようです。
女性は妊娠の有無にかかわらず毎月生理が来るので、
鉄分を失って貧血になりやすいですよね?
このような事を考えると、貧血や鉄分不足を軽く考えずに
様々な食材から、こまめに鉄分補給を心掛けた方が良いのだそうです。
氷のように冷たいものばかりを四六時中欲するようになると、
体を芯から冷やしますので
鉄分不足から起こる貧血の症状だけではなく。
胃腸を弱らせますし、
胃腸が弱れば、そこに関連している機能にも影響が起きてきます。
氷を異常なまでに食べてしまう方は、氷が好きなのか、
好きではないけれど食べずにはいられない「氷食症(ひょうしょくしょう)」なのか
一度確認されてみてくださいませ。
その場にいた氷好きの女性は、
冷たい物や氷好きでもあったのだけれども、
少し前に出た健康診断の結果で治療は必要ないけれど
少し貧血気味だから食生活を見直すように言われたのだとか。
その場に居た全員に「氷食症(ひょうしょくしょう)」の知識が無ければ、
彼女の癖のひとつということで笑って流されていたはず。
ご縁というものは、人だけではなく情報に出会うこともご縁のようです。
このお話が、あなたの知識ボックスの片隅に入れていただけますように。
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