資料の断捨離をしようと古い段ボールの中をガサゴソとしていた時のこと。
段ボールの中には学生時代のノートが紛れ込んでいました。
この類のものというのは、未熟な自分がこれでもかと詰め込まれている、言わば
パンドラの箱のようなものなのだということを私は知っています。
処分したはずなのに、いつだって思わぬところから現れる過去の自分。
どのような自分であろうとも、全ての自分が在ってこその今の自分。
そう思いながら意を決して恐る恐るページを捲ったのです。
すると、意外にもあれやこれやと丁寧にまとめてあり、少しだけ、このノートが残っていたことが腑に落ちたのです。
が、やはりパンドラの箱はパンドラの箱なのですね。
ここでは披露できなような落書きも所々に散りばめられており、未熟な自分と変わらぬ自分がそこに在りました。
あるページではシェイクスピアの作品について感じた事や連想したことなどが書かれていたのだけれど、
ウィリアム・シェイクスピアの『夏の夜の夢(真夏の夜の夢)』のページには、「パンジーの花から絞りとった花の汁が惚れ薬だなんて!!!」と赤い文字で書かれておりました。
自分の視点に「そこか!?」と思いつつ、久しぶりに作品を振り返ったのです。
シェイクスピアと聞くと、小難しいイメージがある方もいらっしゃるかとは思うのですが、この『夏の夜の夢(真夏の夜の夢)』は、子どものことを巡ってケンカ中の妖精の王様とお妃様などが登場し、
妖精が引き起こすドタバタから、人間の恋人たちがごちゃごちゃになってしまう、幻想的で元祖ファンタジー作品といってもいいような作品です。
そして、この作品には「パンジーの花から絞り取った花の汁を目にさすと、目覚めて最初に見た男性を好きになる」というお話があります。
このお話から生まれたエピソードなのかは定かではありませんが、パンジーやパンジーモチーフのものを身につけていると、想いを寄せている異性からの愛情が得られるという言い伝えがあります。
そして、この言い伝えからヨーロッパでは古くからパンジーは愛情に関するお守りとしてとても大切にされ、今でも愛されているモチーフなんです。
他にも、パンジーはどうして3色からなるお花なのか。
こちらは、ローマ神話の中でヴィーナス(ギリシャ神話ではアフロディーテにあたる)の子どもであり、恋愛の神様でもあると言われているキューピッドが関係しています。
キューピッドと言えば弓矢を持ち背中に羽の生えた天使を思い浮かべるかと思うのですが、キューピッドも初めから上手に矢を放てるわけではなかったようで、放った矢が外れ、真っ白なスミレの花に当たってしまったのだそうです。
矢によってスミレには傷が出来てしまい、その傷跡が三色のスミレの色、柄になったと言われています。
花束になるようなことのない控えめなパンジーなのですが、古よりたくさんの伝説が語り継がれています。
ちょっぴり切ないストーリーもありますが、優しさを含んだお話しが多いため恋愛や愛情に関するお守りにされていることも頷けます。
私のノートには、シェイクスピアそっちのけで、このようなパンジーに関する事柄が多数書き留められておりました。
今回はその一部をご紹介させていただいたのですが、いかがだったでしょうか?
パンジーは咲いている期間も長いですし街中でも目にすることができます。
もし、パンジーを目にされました際には、今回のお話をちらり、思い出していただけましたら幸いです。
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