ご年配の方に驚かれてしまう程に血圧が低く、朝が苦手な私に強いられた11日間の早起きスケジュール。
就寝時刻が変わるわけではなかったので11日目の朝ともなると、正直くったくただ。
それでも何とか乗り切ることができたのは、少し涼しくなってきた気候のおかげ。
本当に、何ごとも持ちつ持たれつなのだな、と冷蔵庫から流れ出る冷気を顔面で受けながら思う。
この日の私の目に飛び込んできたのは、先日、ドイツ旅行のお土産だと頂いた桃のシロップ漬け。
大きな瓶にぎっしりと詰められている桃は、深紅色にブルーベリーの青が混ざり込んだような鮮やかな赤色をしたシロップに深く色づいていた。
ツアーに頼らずに、旅の行程を自分で決め全ての手配までする彼女が、今回立ち寄ったドイツの小さな町で開催されていた桃フェスタで出会った一品だという。
田舎町を渡り歩く中で偶然遭遇した桃フェスタの話は、どれも温かみのある田舎町の風景そのものだった。
蓋を開けるとシロップの香りではなく桃のフレッシュな香りがふわーっと広がった。
お洋服にシロップの赤い色が付いてしまわないように、慎重に丁寧にいくつかの桃を器に取り出した。
艶のあるシロップをまとった桃は宝石のような色合いで期待が膨らんだ。
桃は半分にカットされた状態で入っており、大きさは女性の手のひらにすっぽり入ってしまう程のサイズでどちらかと言えば小ぶり。
日本で桃と言えば白桃を思い浮かべるけれどドイツではネクタリンが主流。
これは、中国が原産地である桃で、先日、幸せのレシピ集でも登場した西遊記の孫悟空たちが食べた不老長寿の桃、「蟠桃(ばんとう)」だとも言われているようです。
この蟠桃(ばんとう)は、ドイツでは「Plattpfirsiche(直訳:平らな桃)」と呼ばれているのですが、その形は本当に平らで、ほんの少し愛らしさ漂うフォルム。
このペタッと潰れた桃の姿も味があると思いませんか?
口に入れてハッとしたのはシャキッとした硬めの食感とフレッシュな桃の甘み。
シロップ漬けと記されているけれどシロップに使われているお砂糖の甘さではなく、桃そのものを味わっているようなコンポートだったのです。
シロップも、ほんのり甘い桃のジュースのような仕上がり。
ヨーグルトにかけたり、炭酸で割ったり、お肉のソースに使っても楽しめるのではないかしら?
と創作意欲を掻き立てられております。
美味しいものはそのまま食べるだけでも十分に幸せなのだけれど、その背景をほんの少し覗いてみるだけで、美味しさがグッと増すような気がしております。
日常茶飯の様々なところに転がっているささやかな何かを、大切にしていきたいと思う朝でございました。
今日もきゅっと口角をあげて笑顔でまいりましょう。
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