幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

秋の夜長に一期一会のお絵かきタイム、いかがでしょう。

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10月も半ばを過ぎるとさすがに暑いと感じる日が減ってきた。

そして、それに反するかのようにシチューのCMを目にする機会が増えてきたように思う。

結露と言ってしまうと一気に趣が薄れるような気がして好まないのだけれど、私は、シチューやお鍋料理で曇る窓ガラスが好きだ。

家の窓から見えるのは、いつもと変わらぬ景色なのに、見えそうで見えない、あのもどかしさ好奇心を小さく擽る。

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そして、それは何だか、今、自分の傍にある様々な温かさの現れのような気もして、

つい覗き込んだり、触れてみたくなってしまうのだ。

だからなのだろうか。

私は時々、曇った窓ガラスを見つけては絵を描いて遊んでしまう。

子どもの頃は、母が発する「窓が汚れるからやめてね」のタイミングをどうかわすか、ちょっとしたスリルもセットになっていたけれど、大人になった今の私は、ちょっぴり寂しいような嬉しいような、そのスリルからは随分と前に解放されている。

だから、思いのまま大きな窓に指先で一期一会の絵を描く。

線を引いたところから窓の外の景色を見るのも、また楽しくて。

描き上げた絵は水滴によって無残な姿になってしまうけれど、そんな儚さもまた、いとをかし、だ。

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ただ、やはり私も大人になってしまったのだと思うのは、翌朝の乾いた窓にくっきりとついた絵の残骸を目にしたとき。

水の入ったバケツと雑巾を手に窓の前に立ち、ほんの少しだけ、本当にほんの少しだけ、止めておけばよかったかなという気持ちなることもある。

それでも、曇りガラスに絵を描くときの楽しさの方が勝るようで止められない。

先日、パートナーと車に乗っていた時のこと。

みるみる間に私の横の窓が曇っていくではないか。

車内と外の気温差が私に曇りガラスをプレゼントしてくれたんじゃないかしら、と一人勝手に盛り上がりパートナーの話半分に、私は何を描こうか頭の中を巡らせていた。

よしっ!!と意を決して体の向きを少し変え、そっと人差し指を立てた瞬間、その言葉は背後からやってきた。

「汚れるから、やめてね」

今一番、私にかけてはいけない言葉だ。

意を決して立てた人差し指を折り畳むときと切なさが、ちょっぴり子ども時代の切なさとリンクし、懐かしさにも似た気持ちを味わった。

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意味があることではないけれど、曇りガラスに絵を描いてみたり、文字を書いてみたり、ひとりごとを書いてみたり、まあるい円を描いてみたり、ペタッと手形をスタンプしてみたり、やはり私はそこに温かさを感じるようなのです。

そろそろ窓のお掃除でもしようかしら?と思った時には、秋の夜長に一期一会のお絵かきタイムなど、いかがでしょうか?

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