自然と言うのはどこでどうタイミングを計っているのやら。
立冬を過ぎた辺りから少しずつ日の入りも早くなり、夜が長く感じられるようになってきました。
皆さんも冬の足音を感じられる瞬間が増えてきているのではないでしょうか。
先日私が立ち寄ったスーパーでは心なしか
冬野菜の陳列スペースが拡大されているように感じられました。
ふと足を止めてお野菜へ熱視線を送っていると立派な葉が付いた大根が目に飛び込んできました。
本体に見劣りしない葉っぱを眺めていると、
子どもの頃に祖母が教えてくれた大根湯のことを思い出しました。
皆さんは大根湯をご存知でしょうか?
大根湯と聞くと風邪をひいた時に飲む「大根湯」や「はちみつ大根」を思い浮かべられるかと思うのですが、
今回登場する大根湯は、大根葉の入浴剤を入れたお風呂のことです。
大根は生で食べると体を冷やす性質があるので
これからの寒い時期は生で大量に摂ることに躊躇する食材です。
だけれども、葉は意外にも体を温める性質をもっているのです。
大根の葉にはビタミンA、C、E、B1、鉄分、カルシウム、ナトリウムといったミネラル、
β-カロテン、葉緑素などがぎゅーっと詰まっています。
そして、注目すべきは、毛細血管の血流を良くする作用があると言われているビタミンK、
温泉成分に含まれている硫化イオンや塩化物も含まれている点。
これらが入っているため、新陳代謝が上がり、疲れが和らぎ、湯冷めしにくくなります。
ただ、これは経験してみたことのある私の個人的な感想ですが、地味です。
非常に、地味。
何が地味かって、ゆず湯やみかん湯、菖蒲湯などと違って華やかな香りはありません。
どちらかと言えば無臭です。
しかも、分かりやすい発汗効果なども無ければ、季節感すらありません。
ね、地味だと思いませんこと?
だけれども、私がこちらでご紹介させていただくことにしたのは、
お風呂上がりのポカポカ持続力があるからです。
このポカポカ保温効果が持続するということは代謝が上がっている印ですし、
何よりお肌にも優しいので敏感肌の方やアトピーの方にもおすすめです。
気になる大根湯の作り方ですが、
昔ながらの作り方と、現代版の両方をご紹介します。
昔ながらの作り方は、大根の葉を水分がなくなるまで(1週間ほど)天日干しし、乾燥したものを細かく刻み、お茶パックなどに入れてバスタブの中で揉みだします。
現代版の作り方は、しっかりと洗った後に水気を取り電子レンジで水分を飛ばし乾燥させます。ハーブなどを乾燥させるときと同じで、乾燥させすぎますと電子レンジの中で発火することがありますので、数十秒ずつ様子を見ながら乾燥させます。その後は同じく刻んでお茶パックなどに入れてバスタブの中で揉みだします。
子どもの頃は大根湯に入ると体が温まると教えてもらっても大根湯に対しての興味はわかず、
祖母の話を右から左へ聞き流しながら、
大根湯に入るくらいなら香りが良くてカラフルな入浴剤のお風呂の方が良いいやなどと思っておりました。
だけれども、子どもの頃の記憶と言うのは頭の片隅に残っているようで、
大人になってふと思い返して調べてみると、
このように優れた効能が詰まった入浴剤だったのだと改めて知ったのです。
その時既に祖母は他界しておりましたので、
心の中でそっと、興味がないだなんて思ってごめんね。と祖母に語りかけつつ
その後、現代版の作り方に粗塩を加えてオリジナルにし、大根湯を楽しみました。
今でも既製品の入浴剤を使うことの方が断然多いのですけれど、
遊び心と祖母のことを思い出しつつ作る入浴剤のお風呂は、
まるくて温かいお湯になるような、そのような気がしております。
大根湯を楽しまれてみるも良し、
大根葉の栄養を噛みしめるも良し、
体がぽっと温まる時間をお過ごしくださいませ。
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