わぁ!!っと、子どものように自分の心が飛び跳ねた。
「お土産だよ」と言って手渡されたのは真っ赤なりんご飴。
それはそれは大きくて形の良い立派なりんごだった。
薄茶色のクッキングシートのようなもので包まれていたけれど、
宝石のように透き通ったマゼンタカラーの飴がコーティングされているようだった。
クッキングシートで覆われたものが透明の袋に入れられていたのだけれど、
既に漏れ広がっているりんごの甘酸っぱい香りと、
クッキングシート越しに顔を覗かせるマゼンタカラーの飴が私の興味を更にひいた。
お祭りで売られているそれとは少し異なっており、
りんごにも飴にもこだわって作られた、余所行き顔のりんご飴。
りんご飴好きとしては、高まる気持ちを抑えられず、
お皿とナイフ、フォークを準備した。
封を開けシートを外すと、りんご飴の表面はまるでお月様の如く
たくさんの気泡によってできた凹凸で覆われていた。
新鮮なりんごを使ってりんご飴を作るとりんごが呼吸をしているため、
気泡ができてしまうのだそう。
フォークとナイフで切り分けていただいたのだけれども、
刺しいれたナイフの先から果汁が溢れ出しジューシーで甘酸っぱいりんごと、
薄くコーティングされた飴のパリパリとした食感と優しい甘さがたまらなく秋を感じさせてくれた。
この時期になると、赤く色づいたりんごが美味しいからでしょうね。
もっとりんごを味わいたくて、りんごでも煮てみようかな、という気分になるのです。
計量作業が苦手でお菓子作りをほとんどしない私が作る煮りんごなので(りんごのコンポート)、
切って混ぜて煮るだけの3ステップ。
りんごをひと口大にカットして、好みの甘味とレモン果汁をまぶして少し置きます。
甘味は、一般的にはグラニュー糖を使うことが多いかしら?
私はハチミツや甜菜糖などを使い、
レモン果汁も本来はフレッシュなものがいいのでしょうけれど
常備しているボトル入りのレモン果汁を回しかけるお手軽スタイルです。
りんごの水分で甘みとレモン果汁が馴染んだら
お鍋でお好みの柔らかさいなるまで弱火で煮込みます。
初めは落し蓋をしてりんごの果汁でりんごを煮る様なイメージ。
りんごが柔らかくなってきたら落し蓋を外してかき混ぜながら水分を飛ばして煮詰めます。
煮詰めたものは粗熱をとってからお好みで冷蔵保存、冷凍保存します。
そのまま食べるもよし、ヨーグルトやアイスクリームに添えるも良し、
ジャム代わりにパンに乗せたり、フレンチトーストに添えたり、
紅茶に入れてフルーツティーにしたり、お肉のソースに使ったり、
お菓子作りをされる方はタルトやパイに使うこともできますね。
作っている間は精油やお香などのお部屋フレグランス顔負けの
甘酸っぱいりんごの香りがお部屋中に広がり、優しい気分にさせてくれます。
季節の感じ方も味わい方もひと通りではないのだけれど、
つい、自分の慣れ親しんだ感じ方や味わい方に固執してしまいがちです。
目の前の季節や出来事を柔らかい心で味わったり眺めたりすることができたのなら
私の日々も、また少し違う広がりを見せて深まっていくのかもしれません。
今年の煮りんごは慣れ親しんでいる「いつも通り」に変化を加えて
シナモン入りで味わってみようかと思っております。