幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

拍子抜けしてしまうくらい素朴な由来があってもいいと思うのです。

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歩いていると「かりんとう」の専門店が目に入ったのです。

かりんとうと言えば甘いお菓子というイメージがあるけれど、今は、お菓子という枠にとどまらずお酒のお供として作られているものや、

甘いものが苦手な方でも楽しめる甘くないかりんとうなども目にするようになりました。

甘すぎないお菓子やお砂糖不使用のヘルシーなお菓子などのうけが良い時代だけれども、

甘いものがとても貴重だった時代の方々の目には、この現状はどのように映るのだろうかとぼんやりと思ったのでございます。

少しだけ混んでいる、かりんとう専門店のショーケースの前で商品を吟味していると、

隣りに居た親子連れの会話が耳に届きました。

「かりんとうを食べるとカリッカリッていい音がするね」と。

素直な子どもにはそう聞こえるのか、と何だか微笑ましく思っておりました。

「かりんとう」という名前の由来は諸説あるようなのですけれど、その中にひとつに、かりんとうを食べる時に聞こえる音が、

「カリン、カリン」と聞こえるため「かりんとう」という名が付いたという説があるのです。

そして、かりんとうの「とう」はお砂糖の「糖」をくっつけて「かりんとう」なのだと。

これは、いつぞやかに食べた、かりんとうに付いていたリーフレットで読んだ説です。

だけれども、本当にそのような単純な理由なのかしら?と素朴な疑問がふわり湧いてしまったのです。

後日、ティータイムにかりんとうを摘まみつつ調べてみることにしました。

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かりんとうは、花林糖と記されることもあるのですが、

この「花林」というのは、金木犀のようなオレンジ色の小さな花を咲かせる植物なのだとか。

この花林の木の枝の色と「かりんとう」の似ていたため、「かりんとう」という名前がついたという説があるようなのです。

だけれども枝の色だというのであれば花林の木でなくてもよいような気がいたしまして

調べていると、当て字であるという説もでてまいりました。

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ではアプローチを変えて「かりんとう」のお生まれを辿ってみますと、

桃山時代に中国から長崎に伝えられたというもの、

同じく桃山時代にオランダから伝えられたなど様々ありましたが、

奈良時代の遣唐使によって唐から伝えられた「唐菓子」というものが、「かりんとう」のもとのようです。

京都では高級で雅なお菓子として発達しておりまして、江戸には徳川家光の頃に伝わったようです。

時代を経る中で下町の庶民にも親しまれるお菓子となったことから、一気に「かりんとう」が世の中に広がったようです。

有力だと言われている説も様々で、一体どれが本当なのかしらと思ったりもするのですけれど、こうも思うのです。

興味深い由来が隠されていたりするのも面白いものだけれど、たまには単純に、「かりんとうを食べると「カリン、カリン」と聞こえるでしょ?だから「かりんとう」なの。ただそれだけなのよ。」

というような拍子抜けしてしまうくらい素朴な由来があってもいいのではないだろうか、と。

そう思ってしまったものですから、小枝のようなかりんとうを普段よりもカリン、カリンと響かせながら、

「かりんとう」という名の由来を深追いすることは止めたのでございます。

「おいしい」それだけで十分。

そう思いながらそっと次のかりんとうに手を伸ばす午後でありました。

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