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幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

優雅で美しい言葉にも、人々の様々な心模様が刻まれております。

言の葉 日常

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一度はベッドへ潜り込んだものの印象深い夢で目が覚めた。

とても興味深い内容だったので忘れぬうちに書き留めておこうと

そっとベッドから抜け出して書斎へと向かった。

つい先ほどの出来事だったはずなのだけれども、

書き留めておくことが出来たのは、ほんの僅かな内容だけ。

相変わらず夢とは儚いものだなと思いながらリビングへと移動した。

シンと冷たくなっているリビングの壁時計で時間を確認すると、

そろそろ夜が明ける頃。

部屋の電気を落としてカーテンを開けた。

窓越しに見た空には数えきることが出来そうなくらいの星があり、

空は冬らしい勿忘菫(わすれなすみれ)色※をしていた。

 

時計がある生活が当たり前の私たちだけれど、

空の表情から時の流れを読んでいた時代があります。

それがどのような生活だったのか、

文明の利器に頼りっぱなしの私には想像し難いのだけれども、

そのような時代ならではの心境が表されている言葉があるのです。

今回は、冬の空に思いを馳せつつ、

美しい言葉の奥に広がる古の人々の心模様を覗きにいってみませんか?

 

例えば、明けの明星(あけのみょうじょう)という言葉がありますが、

これは、明け方に東の空に輝く金星の呼び名です。

そして、この時間帯は薄暗いので人とすれ違ったとしても

相手の顔がはっきりと見えないこともあり、

「彼は誰星(かはたれぼし)」とも呼ばれています。

反対に、夕暮れ時に見える金星のことは「宵の明星(よいのみょうじょう)」と呼び、

この時間帯のことを「誰そ彼時(たそがれどき)」と呼びます。

このような情景を表している言葉を観察してみると、

明け方に使われる言葉は「彼は誰」、夕方に使われる言葉は「誰そ彼」と、

言葉の順番が入れ替わっているのです。

ここに当時の人々の心模様が表れてしまっているのです。

 

明け方というのは次第に明るさが増していくため、

急がずとも彼が誰なのかしばらくすれば分かるため、

のんびりと「彼は誰なの?」と尋ねる余裕が表れているのだとか。

一方、夕方は刻々と辺りが暗くなっていきますので、

人の顔も見えなくなる焦りから「誰なの?彼は」と、

「誰?」という部分が先に出ており、当時の人々の焦る気持ちが表れている、と言われております。

 

優雅で美しい言葉にも、人々の様々な心模様が刻まれております。

生活のリズムや時代は違えど、

古の人々も私たちと同じように時間に追われながら過ごすこともあったのでしょうね。

私は、「誰そ彼時(たそがれどき)」という言葉に触れる時、

「焦るときは焦るのよ」という古の人々からのメッセージが隠されているようにも思えて

クスリと笑ってしまうことがあるのです。

そのような事を思いながら朝日を迎えた冬のある朝でした。

※勿忘菫(わすれなすみれ)色とは、12月生まれの誕生月色です。詳しくは12月1日の記事をどうぞ。

画像出典:https://jp.pinterest.com/