突然ですが、皆さんはアルファベットの筆記体を書くことができますか?
現在、日本での「筆記体」の扱いは教えても教えなくてもよいものとされており、
その判断は現場に委ねられているようです。
いつだったか記憶は定かではないのですけれど、このような話を目にしました。
近年、アメリカでは、筆記体を読んだり書いたりといった教育が減り、
その結果、筆記体の力が十分ではない世代が増え、
筆記体が衰退してきているというのです。
私が暮らしていたイギリスでは子どもの頃から筆記体を勉強するようで、
読めない、書くことができないというような話はあまり耳にしませんでした。
しかし、筆記体という文字を繋げてかく書き方は、
もともと万年筆の持ち味を生かすためのもの。
インターネットやSNSの発達によって、世界中で手書きの機会が減っている昨今、
筆記体という一つの文化が世の中から消えてしまうこともあり得るのかもしれないと思うと、
少し複雑な気が致します。
しかし、日本人は既にこの経験をしています。
日本には草書と呼ばれるくずし文字がありました。
だけれども、学校では草書の授業はありませんので、
今の私たちは昔の書物を資料として目にするときに触れるくらいではないでしょうか。
草書を使いこなすことが出来るご年配の方から草書で書かれたお手紙をいただたとしても、
書道や古文などを通して草書に触れる機会でもなければ、
達筆であることは分かるけれど読めないという方が多いことも頷けます。
文化というのは突然無くなるものではなく、
無くなる過程に身を置いていたとしても気付かず、
気付いた時には無くなっている、
そのような類のものなのかもしれません。
文化として残し未来へ繋ぐということは簡単なことではなく、
常に危機感と隣り合わせのもの。
海外の筆記体事情に触れ、このようなことを思っておりました。
あなたが残したい日本の文化、好きな文化はありますか?
和の彩り溢れるこの時期に日本の文化にほんの少し、
想いを馳せてみてはいかがでしょうか。