あまりにも風が冷たく、体の芯がジンジンしてくるほど寒かった日、
このような日はお鍋に限る、ということで食事会はもつ鍋料理店に決定。
九州のお料理が運ばれてくる中、「明太子」があったのですけれど、
メンバーの一人が「明太子」と「たらこ」は何が違うのだろうか、と素朴な疑問を解き放ちました。
皆さんは何を「明太子」と呼び、何を「たらこ」と呼んでいるでしょうか?
今回は、そのようなお話を少し。
最初に結論をお伝えしますと、両者に違いはありません。
もとは両方ともタラ科のスケソウダラという魚の卵(卵巣)を塩漬けしたもので同じです。
通常はこの塩漬けの状態のものを「たらこ」と呼びます。
そして、この塩漬けした「たらこ」を各店のこだわりが詰まったタレに漬け込み、
旨辛く味付けしたものを「辛子明太子」と呼びます。
この時に使用するタレは、だし汁、唐辛子、お酒などの調味料を
日本人の味覚に合わせて混ぜ合わせたものです。
日本人の味覚に合わせて?
そうなんです、今や日本食のひとつのように馴染んでいる辛子明太子ですが、
本来は、韓国の伝統食品だったのです。
旨辛い辛子明太子を作った日本の会社が福岡の博多にある会社だったことから
辛子明太子と言えば博多の辛子明太子、
明太子と言えば辛いものというイメージで世の中に広まったようです。
ただ、西日本の地域では旨辛いタイプのものを辛子明太子、
一般的に「たらこ」と呼ばれている塩漬けタイプを「明太子」と呼ぶことで
両者を区別することもあるようです。
コンビニのおにぎりを見てみると分かりやすいでしょうか。
「明太子」のおにぎりと「たらこ」のおにぎりがありますが、
辛いものが苦手だという方は塩漬けタイプの「たらこ」を選ぶと安心して食べることができます。
ただ、スーパーなどで明太子を選ばれる時には注意が必要です。
真っ赤なもの(唐辛子)は「辛子明太子」で、
赤くないものは塩漬けタイプの「たらこ」だと思いがちなのですが、
赤く染まらない辛み成分を使って仕上げられている「辛子明太子」もあります。
唐辛子の辛さのない塩漬けタイプをお探しの場合は、
色ではなく漬けタレの成分を確認して選んで下さいませ。
「明太子」と「たらこ」の違いは確認できたかと思うのですが、
どうして「めんたいこ」「たらこ」と呼ぶのだと思いますか?
この「明太」という言葉は中国語では「ミンタイ」と発音し、スケトウダラのこと。
これが韓国では明太魚と書いて「ミョンテ」、日本では「メンタイ」と呼ぶようになりました。
そして、日本で呼ばれている「たらこ」という呼び名ですが、
これは、「スケトウダラ(鱈)の卵」だから「鱈の子」ではないか、
という発想から「たらこ」と呼ばれるようになったという説があるのだとか。
先人たちの駄洒落好きは至るところに足跡が残されております。
「たらこ」の呼び名からも、
そのDNAは間違いなく現代の私たちにも引き継がれているのかと、改めて。
ちなみに、明日1月10日は博多中州のふくやさんが制定した「明太子の日」です。
お好きな方は明日、明太子を食卓にいかがでしょうか。
「明太子」の呼び名ひとつで、どのようなものなのか通じますが
「明太子」「たらこ」と呼び分けて味わってみるのも、乙なものかもしれませんね。
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