ふらりと立ち寄ったアパレルショップ。
小物類を手に取って見ていたのだけれど、
接客をしてくださったスタッフの方が使われた言葉がひっかかりました。
仕事柄、言葉に敏感に反応してしまうことは日常茶飯事なのですが、
その時は、スタッフの方の言葉使いや言葉選びに対してということではなく、
その言葉が持つ生命力のようなものを肌で感じてしまったのです。
その時のシチュエーションは、私が手に取ったアイテムの良さを丁寧に紹介してくださっておりました。
その中で彼女が何度か発した「こじゃれてるんですよ」という言葉。
「こじゃれている」
きっと彼女は漢字で表すならば、「小洒落ている」というイメージで使われたのだと思うのです。
少し謙遜した意味合いも含ませつつ、「ちょっぴりおしゃれなんですよ」「さりげないけれど、おしゃれアイテムですよ」と紹介してくださったのではないかと。
ただ、本来「こじゃれた」と言う言葉には「ふざけた」、「くだらない」という意味が含まれています。
これに「小」が付きますので、
「少しふざけた商品ですよ」「ちょっとくだらない商品なのですが」と紹介していることになるのです。
例えば、友達のファッションに対して
「今日は普段とは違う雰囲気のこじゃれた格好をしてるわね」と言って褒めたとしましょう。
本来の意味を知っていると、言葉上では褒めていないことが分かります。
相手が本来の言葉の意味をしっていたとしたら、気まずいシチュエーション以外の何ものでもありません。
そして、正しく漢字で記すなら「小洒落た」ではなく「小戯れた」なのです。
と、これが本来の意味なのですが、面白いのは言葉は生き物のように変化していくということ。
全力を出し切ったようなオシャレではなく、
さりげないオシャレさのことを「小洒落た」という言葉で表現するという認識は皆さんの中にも既にあると思うのですが、
少し前まで、これは誤った言葉の使い方だとされていたのです。
だけれども大勢の人々によって誤りが使い続けられてきた結果、
もうひとつの正解が生まれたのかもしれません。
現在は、本来の「小戯れた」とは別の言葉として「小洒落た」と言う言葉が、
その地位を確かなものにしつつあります。
とは言うものの、様々な年代の方とお話をさせていただく中で感じるのですが、
オフィシャルな場面での使用は控えた方が良い気が致しますし、
ご年配の方との会話の中で「こじゃれた」という表現を使う場合も、まだまだ注意が必要だと感じております。
例えば、お姑さんとショッピングへ出かけ「このお洋服、どうかしら」と尋ねられて
「こじゃれていますね、お似合いですよ」とは言ってはいけません。
ご年配の方に行きつけのお店に連れて行っていただき
「このお店、どう?気に入った?」と尋ねられて
「はい、気に入りました。こじゃれていますよね、このお店」と言ってはいけません。
わたくし、例え話を挙げならがら、背筋が凍りつきそうでございます。
皆さま、ご注意あれ。
「こじゃれた」という言葉には他にも興味深いエピソードがあるのですが、そのお話は、またいつか機会がありましたら……。
本日もお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
皆さんの発する言葉が、皆さんを素敵な世界へ誘ってくれますように☆彡
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