幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

ハプニングが運んできたのは素敵な一期一会。

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「目を閉じたままスマートフォンを手にしてアラームを切る」という動作が日課になっている。

私にとってスマートフォンは、良くも悪くも生活の一部、身体の一部のような存在だ。

先日、カーテンの隙間から射し込む朝陽で目が覚めた。

休日だったため、アラームをセットせずに眠りについたと分かっているのに

ついスマートフォンを手に取り画面を覗き込んでしまう。

そして、何をどうしても立ち上がらない状況を前にスマートフォン同様にフリーズした。

こういう時のテンションの下がりっぷりといったらない。

“形あるものはいつの日か”そう理解してはいるものの、

人は、それが明日かもしれない、数分後かもしれない、とは思わないように出来ているようだ。

在って当たり前のことなどどこにもないのだということを、

このような状況からもやんわりと学ぶことになるなんて。

休日の二度寝を楽しむ気はすっかりどこかへ飛んでしまった。

 

オン・オフともに私の七つ道具の一つとして数えられるスマートフォンは、

最悪の状況を見据えて、それなりの対策は講じてある。

それでも焦る気持ちが見え隠れするのだから、

自分が思っている以上に頼っているということなのだろう。

焦ったところでスマートフォンが立ち上がるわけではないのだから、まずはお茶を一服。

自分の気持ちを落ち着けて携帯会社へと向かった。

とても混雑していて出直すことになったのだけれども、

どうやら機種変更をする運びとなることが分かりパンフレットを手に一時帰宅した。

 

数時間後、予め決めておいた機種と共にカウンターに案内された。

目の前に座るのは初々しさ満点、

大きな文字で研修中と書かれたネームプレートを付けた可愛らしい女性だった。

彼女の緊張が透けて見えるようで私まで少し緊張した。

 

自前の手帳を開いたり、先輩スタッフに確認するなどしつつ、

ひとつずつ丁寧に説明してくれたのだけれども

私の頭の中には説明は入ってこず、

ただひたすら心の中で「頑張って!」とエールを送りまくっていたように思う。

そのような中、私にも聞きたいこと、確認したいこと、教えて欲しいこと、して欲しいことがあり、

全てのやり取りにメドが付いた頃には手続き時間が4時間を優に超えていた。

ちょっと疲れたと感じたけれど、

彼女の疲労感は私のそれとは全くの別物だっただろうと思う。

だけれども、そのような素振りが漏れることが無かった彼女の真っ直ぐさとガッツに

「初心忘るべからず」そんな言葉が私の脳裏を過ぎった。

大人になるにつれ初めての経験は少しずつ減っていき、

初めての種類も変わってくるけれど、

このような形で初心に立ち戻らせてもらえることもあるのだと感じた時間だった。

最後に少しばかり雑談を交わしたのだけれども、

その時に見せてくれた彼女の笑顔からは、

安堵感と素顔が解き放たれていたかのようで微笑ましかった。

 

ハプニングが運んできたのは素敵な一期一会。

素敵な出会いや素敵な景色はハプニングに潜んでいることもある、

今回は、そのようなある日の出来事でございました。

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