幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

“日本語七不思議”のひとつにしてしまいたい今日この頃です。

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年が明けてすぐの出来事だったのですが、

年賀状やメール、SNSなど様々な形で新年のメッセージをいただきました。

どのメッセージも温かくウィットに富んだ華やかなもので

新年の幕開けに花を添えていただいたような気分になりました。

あるメッセージを読むまでは……。

 

そのメッセージの送り主は共通の知人を介して出会った、

日本語を勉強し始めたというイギリスの方。

この方は、古き良き日本の文化や作品に魅せられているようで、

今どきの話言葉のような文体ではく、

オフィシャルな場面でも使える様な日本語を学びたいのだそう。

このような目標を持って独学で日本語を学ばれている方に起こりがちなことのように感じているのですが、

オフィシャルな場面でも使える日本語というよりは、

時代劇で侍でも演じるつもりなのだろうか、

と思わせる様な日本語を学んでいる方が多いように思うのです。

 

年明け早々にいただいたメッセージにはローマ字で、こう書かれていました。

「貴様の1年が幸せであるように願います」と。

KISAMA、キサマ、きさま、貴様……、わたくし、人生で初めてそう呼ばれました。

 

日本人であれば漢字からある程度は察することができるかと思うのですが、

「貴様」という言葉は文字通り「貴方様」という意味を持った

目上の方に対して敬意を表すときに使う敬称のひとつで

特に男性が使用していました。

「貴様」という言葉と共に例に挙げられることが多い「お前(御前)」という言葉。

こちらも、もとは「敬意」を表す時に使用されていた言葉だと言われています。

 

敬意を表すときに使われていたはずの言葉ですが、

時代の変化の中で、人との関りや身分の区別などにも変化が及んだからでしょうか。

気軽に使うことができる言葉のひとつになったのでしょうね。

次第に自分と同じ身分の相手や自分より下の立場の相手に対して使われるようになります。

 

きっと、初めは相手を悪く言うために使われていたのではなく、

身分を問わず相手に敬意を表すために使っていたのかもしれません。

時代劇などで女性が亭主に「お前さん」と呼びかけるシーンがありますが、

夫婦という同等の関係の中にありながら男性を立てる女性の心遣いが

「さん付け」に表れておりますしね。

ただ、時代背景や時の流れや、様々な要素が言葉と混ざり合い、

現在のように攻撃的なシチュエーションで使われる、ひと癖ある言葉となったようです。

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わたくし、年明け早々、

いただいた新春メッセージに対してこのような説明をしていたわけなのですが、

「どうして敬意を表す言葉が相手を悪く言うときに使う真逆の言葉になったの?」

と切り返され、未だ言葉に詰まっております。

この際、“日本語七不思議のひとつ”として調べてみたらどうかと

逆に提案してみようかと思う今日この頃です。

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