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幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

大人が手にした壮大な冒険と探検の旅。

日常 言の葉

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「冒険いこ」

「うん、探険いこ」

「違う!ぼ、う、け、ん!」

「・・・・・・。」

「どっちでもいいから早くいこ」

 

私の横をランドセルの中身をカタカタ鳴らしながら走り過ぎて行った子どもたちの会話だ。

性格診断ができてしまいそうな程の三者三様のリアクションに思わず吹き出してしまいそうになった。

今の子どもたちの日常にも冒険や探検の世界があるのだなと思った。

私が彼らくらいの頃は学校帰りに秘密基地で過ごすことが密かな楽しみだった。

そこは石材店が出番待ちの園芸用の石財を保管している場所で

大きな石が器用に積み上げられていた。

今思えば、とても危険な場所だったけれど当時の私たちから見れば

ちょっとくらいの力ではビクともしない心強い空間だった。

登校中に立ち寄ってお菓子や飲み物を隠し置き、

下校途中に大きな石の上に寝そべって空を眺めたり、お喋りをしたり、雨宿りをしたり、

ピクニック気分で持ち寄ったお菓子を食べたりして過ごしていた。

だけれども、そのような夢の空間も時間もそう長くは続かず、

あっという間に大人たちにバレてしまった結果、

その場所は柵で囲われて中へ入ることは出来なくなってしまった。

秘密基地にお気に入りのフィギュアを持ち込んでいた男の子は、

突然フィギュアを失うことになり肩を落としていたことを薄っすらと覚えている。

私の横を走り過ぎた少年たちの背中を当時の自分たちと重ね合わせ、

自分にも可愛らしい経験があったものだと遠い記憶を懐かしく思った。

 

冒険と探検は似通ったシチュエーションで使われる言葉だけれども、

探検ではなく冒険だと強く念押ししていたあの少年は

あの歳にして冒険と探検を使い分けていたのだろうか、とふと疑問に思った。

 

冒険の「険」は、「けわしい」という意味。

冒険は、危険を承知の上で、

怖さや不安よりも未知の世界へ向かう勇気のようなものが勝る行為のこと。

そして、その旅路で得る経験や感動がご褒美といったところだろうか。

 

一方、探検の「検」は、

検査、検索、検討、点検といった単語からも想像できるように、

「しらべる」という意味を持っている。

こちらは何かを探したり、調査という行為のこと。

冒険同様に探検にも危険はつきものだという判断から、

「険(けわしい)」の文字を使って「探険」と使われることもあるのだけれど、

一般的には「探検」と書く方が無難。

 

いや、少年は使い分けたと言うよりは、

冒険ものには欠かせない憧れのヒーローと自分を重ね合わせていたのかもしれない。

と思う私は彼を子ども扱いし過ぎだろうか。

大人になれば粗方の危険を回避できるだけの判断力と知恵を手にする代わりに

子どもの頃のような冒険の旅、探険の旅にでる機会は減るように感じる。

だけれどもそれは、今度は、自分が重ねる日々を

壮大な冒険かつ探険だと捉えられる目と自由を新たに手にしたというサインなのではないかしら。

と走り過ぎた子どもたちの残像に思う夕暮れだった。

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