時々、明確な答えのない質問を受けることがあります。
数か月ほど前は、本日のタイトルでもある「○○してくださり」と「○○していただき」はどちらが正しいのか?と友人に尋ねられました。
急にどうしたのかと尋ね返したところ、「この場面では“○○してくださり”で、“○○していただき”ではない」と指摘を受けたのだと言うのです。
それ以降、自分で調べてみたり、周りを観察してみたようなのですが、判断が付けられず尋ねてみたと言うのです。
さて、困りました。
と言いますのは、あるルールを適用すれば使いどころが分かれますが、結論から言えば、どちらも正しい言い回しなのです。
「くださる」は尊敬語で、「いただく」は謙譲語であるという違いと、相手目線なのか、自分目線なのかという違いはありますが、どちらも「もらう」という同じ意味。
ただ、“○○していただき”という言い回しを使う方が少しだけ多いという現状があるようです。
そして、NHK放送文化研究所というところがあるのですが、この研究所の調査によりますと年齢を重ねられた60代~の方々が抱く印象として、
“○○していただき”という言い回しの方が感謝の度合いが大きく感じられるのだそう。
私の場合は、この現状と、どちらも正しい言葉だということを踏まえた上で、相手やシチュエーション、文章や会話の流れによって使い分けを致しますが、
相手の年齢やシチュエーションを問わずに使用できる点が万能であると感じる“○○していただき”という表現を使用する機会が多いように思います。
しかし、ルールに則り使い分けをされている方もいらっしゃいますし、場合によっては、より適した言い回しを選ぶ方が相手に失礼がないこともあります。
「○○してくださり」と「○○していただき」は、社会生活、日常生活の中でも使用頻度が高い言葉でもありますので、この機会に私と一緒に確認しておきませんか?
「〇〇してくださり」は、
「あなたが私に○○してくださいました、ありがとうございます」ということで、
「相手」がしてくれた、その行動に直接お礼を伝えています。
一方、「○○していただき」は、
「私はあなたに○○していただきました、(お陰様で、このような状況になりました。)ありがとうございます」ということで、
「私」が「あなた」にしていただいたことで得た好状況に対してのお礼を
間接的に伝えています。
これを具体的な例挙げてご紹介してみますね。
私の実例なのですが、柊希の都合である方に足を運んでもらったとします。
このようなシチュエーションで、まず最初のご挨拶としては、
「お越しいいただき、ありがとうございます。」と言っても間違いではありませんが、
相手が足を運んで下さった手間暇やお気持ちに直接お礼を伝えたいので、
「お越しくださいまして、ありがとうございます。」という言い回しを選んで使っています。
そして、お見送りの際に再度お礼を伝える場合には、
「お越しいただきまして、(そのおかげで、素敵な時間になりました)ありがとうございました。」
という具合です。
相手との関係性や年齢差などによって多少変わってはくるのですが、
使い分けのイメージをさっくりと掴んでいただけましたでしょうか。
どちらを使っても間違いではありませんので、あなたらしく使いこなしてみてくださいませ。
関連リンク:NHK放送文化研究所
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