待ち合わせ場所で辺りの景色を眺めていると様々な看板が目に飛び込んでくる。
手持ち無沙汰なのを紛らわせるには丁度良く、
私は視線をゆっくりと流すようにして看板を追った。
すると、バイキングスタイルで営業をしているお店のすぐ側にビュッフェの文字を見つけた。
私たちは、自分が使っている言葉が和製英語であると気づかずに使っていることがある。
更に、本来の意味を取り違えたまま使っていて、
知らぬ間に失態をおかしているということもある。
バイキングやビュッフェという言葉も、これに近いのではないかと思うのだ。
今回は、日本人が勘違いしていることが多い身近な言葉、
ビュッフェとバイキングの違いに関するお話を少し、と思っております。
お時間がありましたら、のんびりお付き合いくださいませ。
「バイキング」は英語なのですが、
本来は、ヨーロッパ北部にいた海賊や、
ヨーロッパ北部に住んでいた人々のことを表す言葉です。
現在、私たちに馴染みのある食べ放題のもとになっている食事スタイルは、
北欧にあった食事スタイルだったと言われています。
この食事スタイルを取り入れた日本は、「食べ放題と言えば北欧のスタイルよね。」、
「北欧と言えばバイキング(海賊や現地の人々)よね。」といった具合に連想し、
食べ放題のことをバイキングと呼ぶようになったという話があります。
ただ、このようなスタイルでいただく食事のことをバイキングと呼ぶのは日本だけ。
海外へ行かれた際や、外国の方に対して、
「食べ放題」という意味でバイキングという言葉を使っても通じませんのでご注意ください。
一方、ビュッフェはフランス語のbuffetがもと。
立食パーティーの様子をイメージしていただくと良いと思うのですが、
こちらは、会場や部屋の一角に、お料理を全てお出しし、
お客様は、そこからお料理を取っていくスタイルです。
ただ、このビュッフェという言葉や食事スタイルには、
「食べ放題」や「おかわり自由」といった意味はありません。
日本では主催者のお心遣いやお店やホテルといった
お料理を提供して下さる側のお心遣いもあり、
「食べ放題」や「おかわり自由」というスタイルにしていることがあります。
このため、日本人はバイキングとビュッフェを
同じものだと認識してしまうことがあるのかもしれません。
ですが、本来ビュッフェは、お料理の量が決まっているものです。
誰かがバイキングのような勢いでお料理を食べてしまったり、
好きなものばかりを偏って食べてしまいますと、
誰かが、そのお料理を食べられなくなります。
ビュッフェスタイルの場所で食事をする場合は、
ビュッフェ本来のスタイルなのか、
ある程度バイキング寄りで、おかわり自由なのか、
確認や見極めが必要となります。
海外では、食べ放題やおかわり自由といった食事スタイルのことを
バイキングとは言わない、通じないということ。
また、日本でビュッフェスタイルという場合は、
食べ放題やおかわり自由ではない可能性もあるということを
事前に知っておくと良いのではないでしょうか。
そうすれば、様々なシチュエーションでビュッフェスタイルに身をおくことになっても、
状況を冷静に見て、その場に合った立ち居振る舞いができますので、
知らぬ間に失態をおかしていた、というようなこともありません。
バイキングとビュッフェは本来、異なるものです。
ビュッフェスタイルのときには、ひと呼吸おいて辺りを見回してみてくださいませ。