外出したまでは良かったのだけども、
少し早く家を出てしまったものだから中途半端に時間ができてしまった。
ティータイムでもと足を踏み入れたお店で、たまたま目に入った外国の記事を読んでいた。
どのような記事だったのだかと言うと、
ヨーロッパで古城を利用した宿泊型のセミナーハウスが人気だというお話。
企業の研修と言えば、学校授業の延長線上のような雰囲気、空間の中で行われるものという、
少々窮屈な印象が今も割と多いように思う。
「遊びではなく仕事なのだから」という風潮がそのまま引き継がれてきているのだろうけれど、
これは日本に限った事ではなく外国でも同じようなのだ。
そこに目を付けたあるご夫婦がヨーロッパにいらっしゃった。
これまでの企業研修のイメージを覆すような、楽しい雰囲気の中で研修を開いてもらおうと
自宅の古城を使って宿泊型のセミナーハウスを21年程前に開業されたとうのだ。
場所を提供するだけではなく、セミナーや研修の企画や準備も手伝うそうなのだけれども、
セミナーや研修を受ける為に訪れるセミナー客やけ研修客には、
何方かのお宅に招かれたような気分で過ごしてもらう為に、
心のこもった接客をするのだそう。
密室に閉じ込められるセミナーや研修ではなく、
古城の敷地内にある緑豊かなお庭で自然を感じながら受けるオトナのセミナーや研修は、
さぞ捗るのではないだろうか、と思う。
今では、この古城を利用したセミナーハウスも各地に増え、
フランス、スペイン、イタリア、ドイツの古城をセミナーハウスとして運営しており、
セミナーハウスと言えばシャトーフォームと言われるほど人気だと言う。
ヨーロッパと日本では、お城の数や在り方、扱い方の違いも多々あるため、
博物館の役割を兼ねた観光地として公開されていることが多い日本のお城を、
シャトーフォームのようにセミナーハウスとして使用することは、そう簡単ではないだろう。
ただ、仮に、日本のお城をセミナーハウスとして使うことができるとしたら……。
お城でセミナー。
お城で研修。
会議室や講堂で受けるそれとは異なる、妙な緊張があるように思うのは私だけだろうか。
きっと日本では、ヨーロッパの古城風の空間や演出を盛り込んで作ったセミナーハウスの方が
昨今の日本で重要視されがちな“おしゃれ感”もあり受けるのかも。
そのようなことを思いながら、
久しぶりに口にしたレモンスカッシュをストローで吸い上げた。
レモン色のそれの中で気泡をまとった真っ赤なチェリーが上下して
グラスの中は、しっかりと夏色だった。
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