幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

少しずつ、この世から姿を消しつつある風物詩。

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目を細めながら感じる夏の日差しと暑さは、人の好奇心を身体ごと掻き立てる。

うかうかしていたら、今年の夏もあっという間に過ぎ去ってしまいそうだ。

私はサーファーではないけれど、季節の波、人生のには上手に乗っていきたい、

そのようなことを思いつつ観光地を歩いた。

途中、キラッと光る氷の上に並べられた、竹串に刺してある冷やしキュウリが目に入る。

どんな高級なお料理よりも、その時の私にはご馳走に見えた。

キンキンに冷やされているキュウリを美味しそうだと感じた自分に、

身体も夏を感じているのだと知る。

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しばらく歩くと、今度は夏の風物詩のひとつ、ラムネが目に飛び込んできた。

台の上に乗せられた大きな手洗の中に敷き詰められた氷に

ねじ込むようにして冷やされていたラムネの瓶。

その表面に浮かぶ水滴には太陽が反射していて、

夏を切り取ったような光景がそこにあった。

吸い込まれるようにして1本購入し、お店の軒先に並べられたベンチに腰掛けた。

ベンチの側に、

「飲料水の栓、蓋、と言えばキャップやプルタブが主流だけれども

ビー玉で栓をしようと思ったのはどうしてなのか。」

というような内容の読み物が置いてあり、私はラムネ片手に流し読んだ。

そこには、ラムネが初めて開発されたのは、

今から150年ほど前のイギリスだと記されていた。

灯台下暗しということなのだろうか。

私のイギリスの友人たちは、

日本のビー玉入りのラムネを始めて見たと言って虜になる人が多かった。

そして、どうしてビー玉で栓をしたのか?という本題だけれども、

当時の栓にはコルクが使用されていたのだそう。

しかし、コルク栓では、いつの間にか炭酸が抜けてしまうという問題があったようだ。

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そこで、当時のあるコルク会社が、ビー玉で栓をする瓶を生み出したという。

これは炭酸ガスの圧力を利用してビー玉を圧着する仕組みの瓶。

確かに、ガラスで作られたビー玉で栓をすれば炭酸が抜ける心配はない。

だけれども、当時はとても高価だったガラスを、

容器と栓の両方に使うという点がネックだったよう。

それならばと、これを回避するための策として、

瓶とビー玉は回収して再利用することを前提にして作られたと言います。

この瓶を作るのは、私たちが思っている以上に技術を要するため、

今でも回収システムが不可欠なのだそう。

ですから、ラムネを流通させようとすれば使い捨て可能な瓶を使うことになるため、

現在は、飲み口部分がプラスティック製のラムネが増えているのだとか。

飲み口部分がプラスティック製なのには更にもうひとつ理由が。

ラムネを飲み終えた子どもたちが、

舌を飲み口から瓶の中に入れて空気を吸い上げるようにして遊んでいたら、

舌が瓶から抜けなくなり問題になったことがあるのだそう。

このような事例があると、

企業側としては安全性を優先せざるを得なくなった結果、

使い捨ての瓶が使用され始めたとも。

色々な物の見方や考え方、配慮があるため、

良い悪いと言う判断は簡単ではないのだけれど、

実は本物の瓶とビー玉が使われたラムネは、

少しずつこの世から姿を消しつつあるという現実があるのだ。

 

ラムネはオールガラスに限る、と思っているわけではないのだけれど、

無くなることが分かってしまうと少しばかり淋しくも感じるのだから不思議だ。

どのようなもモノゴトも、いつまでも変わらずに在るとは限らない。

飲み口部分までガラスで出来ていて、

瓶を持ち帰ることができない一期一会のラムネに出会えた際には

ひんやりとしたガラスの飲み口とビー玉を、

夏と一緒に、目で、手で、耳でも楽しんでみてはいかがでしょうか。

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