先日、あることを決める際に「じゃんけん」を使った。
オトナになると「じゃんけん」をする機会も減るものなのだな、とふと思う。
どこの国にも「じゃんけん」のようなものがあるけれど、
日本発祥のそれとは少々異なるスタイルの国もある。
それを知ったのはある年のサマーバケーション中の出来事だった。
私は長期休暇を利用して2週間程のヨーロッパ旅行をすることにした。
現地の旅行会社で手頃なツアーに申し込んだのだけれども、
ツアーの参加者の多くが偶然にも様々な国籍の同世代だったこともあり、
いつの間にか、特に気の合うもの同士で、いくつかのグループができていた。
あるとき、何かの順番を決めなくてはいけなくなり、
グループの最年長同士による「じゃんけん」が行われた。
その時である。
そこには、始めて見る「じゃんけんのカタチ」があり、
勝ち負けの判断が付けられないという不思議な状況を目のあたりにしたのだ。
私たちが使っている「じゃんけん」には、
グー(石)、チョキ(はさみ)、パー(紙)の3種類のアイテム(手の形)があるけれど、
このアイテムが国によっては4種類だったり、5種類だったりと異なる。
そして、日本と同じ3種類のアイテム(手の形)を使っている国の中には、
「石」と「はさみ」と「紙」ではないケースもあった。
口々に「その形は、何?」と言い、じゃんけんは世界共通じゃないのか!と皆で驚いたのだ。
今回は、その言葉の響きがカワイイという理由で
フランスの「じゃんけん」のお話を少し。
フランスの「じゃんけん」で使われているアイテム(手の形)は、4種類。
その中の3種類は日本と同じグー(石)、チョキ(はさみ)、パー(紙/葉っぱ)なのだけれど、
そこに、ピュイと呼ばれる井戸が加わる。
ピュイの形は、人差し指と親指の先をくっつけて輪を作り、
残りの3本の指は人差し指の下に重ねるようにして添える。
そして、気になる勝敗はというと、
グー(石)は、ピュイ(井戸)の中に落ちてしまうのでピュイ(井戸)に負ける。
チョキ(ハサミ)も、井戸に落ちてしまうのでピュイ(井戸)に負ける。
パー(紙/葉っぱ)は、ピュイ(井戸)を塞ぐことができるのでピュイ(井戸)に勝つことができる。
となるのだけれど、このルールに慣れてフランス式の「じゃんけん」を使っていると、
あることに気付くのだ。
パー(紙/葉っぱ)とピュイ(井戸)は4分の2の確率で勝つことができるけれど、
グー(石)とチョキ(ハサミ)は4分の1の確率でしか勝てないということに。
さらに、グーを出していたはずなのに、
こっそりとピュイに変えるというズルやその逆をする人が現れるということにも。
そして、当時、柔道を習っているという青年が「じゃんけん」は日本で生まれたものだから、
旅行中の「じゃんけん」はジャパンスタイルに統一してみてはどうだろうと提案した。
私は、その時に初めて「じゃんけん」が日本生まれだと知ったのだけれども、
知らなかったとは言い難い空気もあり、
知っていた風をぴゅーぴゅー吹かせつつ、
ジャパンスタイルの「じゃんけん」を伝授した記憶がある。
「じゃんけん」をする機会がありましたら
フランススタイルの「ピュイ」をちらり思い出していただけましたら幸いです。