少しずつ目にする機会が増えてきたように感じる「損失余命」という言葉。
インパクトのある言葉なので、
言葉のイメージによって本質が見えなくなってしまったり、
落ち着いてものごとを見ることができなくなってしまうこともあるかもしれません。
この機会に、私と一緒に「損失余命」という言葉の意味や、
この言葉が使われる状況下での情報の見方などを、さっくりと掴んでおきませんか。
ご興味ありましたら、お付き合いくださいませ。
|損失余命とは?
これは、WHO(世界保健機構)をはじめとする、
様々な国の医療機関や医療団体で使われている言葉で、
日本でも目に、耳にする機会が増えてきている言葉のひとつです。
具体的には、ある食べ物を食べたとき、
食べた人の寿命がその食べ物を摂取したことによって、
どれくらい短くなるのかということを数値化したものです。
この数値は、これまで世界中で研究されてきた健康被害のデーターをもとに計算されています。
|損失余命という数値の見方、注意点
損失余命を表す際によく登場するものの中にタバコがあります。
タバコを1本吸うと寿命が12分短くなると言われています。
タバコが体に良くないということは誰もが知っている情報ではありますが、
食材にも、このような損失余命という数値が出されています。
「○○を、このくらいの量、摂取すると寿命が○秒、○分短くなる」というものです。
損失余命が出された食材の一覧なども公表されているようですが、
私はここで例として挙げることは控えたいと思っています。
と言いますのは、この損失余命というものは、
体に与える健康被害の部分だけを数字にしたものです。
食材には私たちの体に必要な栄養素も含まれているため、
損失余命を見ただけで「食べない方が良い」と判断するのは安直すぎる気がします。
また、この数値も「食べない方が良い、食べてはダメ」という意味で公表されているものではないことも頭の片隅に記憶しておくとよいのではないかと思います。
もし仮に、損失余命が長いものを口にしないようにしたとしましょう。
栄養素が不足し、何らかの病気を誘発することもあると思うのです。
ですから、損失余命という情報を目にした際には、
そのような要素も含んでいる食材だということを知り、
危険要素を減らすことができる調理方法があるのであれば、
その調理方法に切り替えて体内に取り込まれる危険を減らすのも方法のひとつです。
ある食材が好物過ぎて過剰摂取気味だという自覚があるのであれば、
適量を楽しむようにすることで対策できるかと思います。
体に良くないけれど、それを食べることで心身が満たされて、
明日の活力に繋がるということもありますので、
その時には、翌日には身体に優しいものを口にして帳尻を合わせる、
ということも方法としてあるのではないでしょうか。
よくお話しさせていただくことではありますが、
過剰摂取をしなければ大きな問題はない食材が多いようですので、
欲しい栄養素が含まれていたとしても過剰摂取になりがちな「ばっかり食べ」は避けて
バランスを取りながら、組み合わせを変えるなどして
楽しく召し上がるようにすると良いのではないかと私は感じています。
食材も人と同じで、
「長所と短所」、「得意なことと苦手なこと」があると思うのです。
その両方を知った上で、私たちがどう接していくか。
そのような視点で情報をみることができたなら、
情報に踊らされることも怯えることも、
何も食べられないじゃないと失望するようなことも無いような気がします。
丁寧な暮らしを重ねるための、何かしらのヒントにしていただけましたら幸いです。