幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

目の前にあるものは、シンプルで奥深い。

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異国情緒あふれる店内の厨房に立つのは、タイ人とバリ人のシェフ。

現地から取り寄せた食材を使って作る彼らのスパイシーなお料理はどれも本格的で

いつ行っても、ちょっとしたリゾート気分を味わうことができる。

その日は、休暇を利用して遠方から遊びにきていた友人を連れ、

束の間のリゾート気分を味わうことにした。

昼間から、お喋りし通しだというのに、まだまだ尽きることがない様子に、

今夜中に全部話し終えられるかしら?と二人して首を傾げた。

近況報告と言うよりは、次はこんなことをしてみたい、

あんなこともしてみたいという話が大半を占めていたのだけれど、

それぞれ二の足を踏んでいたようなことも出来るような気がしてくるのだから不思議だ。

全く違う性格だからこそ気付かせてもらえることや、見えてくるものがある。

“同じ”を共有し合うことも楽しいけれど、

“違い”を尊重、共有し合えることも楽しくて、ありがたくてたまらない、そう思う。

 

半分夢色混じりだった互いの話が、現実味を帯びてきた頃、

お店おすすめのデザートが運ばれてきた。

その中のひとつに、バナナをたっぷりと使ったものがあったのだけれども、

本来のバナナには小指の先ほどの大きさの種が

チョコチップクッキーかと言えるくらい沢山詰まっているのだと

お店の方がカタコトの日本語で話してくださった。

美味しいデザートを口に運びながら、

じゃぁ、私たちが普段食べているバナナは品種改良した種無しバナナなんですね、

と返すと「チガウ、チガウ。ソレハチガイマス」と店員さん。

 

現在、私たちが食べているバナナは、

たくさんの種が詰まった本来のバナナが突然変異したものなのだそう。

種がないバナナはとても食べやすいことから、

当時の人たちが種無しバナナを大切に育ててきたおかげで、

今の種無しバナナがある、ということだった。

そして、東南アジアには、

今でも種が詰まったバナナを食べることができる地域もあるという。

物心ついた時からバナナの種の存在など気にしたことがなかった私にとって、

「バナナは種がないフルーツ」というのが常識だったはずなのだけれども、

目の前にある真はシンプルで奥深いもののようだ。

画像出典:https://jp.pinterest.com/