幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

今月の和風月名「長月」から見る、とある恋の世界。

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毎月、和風月名に触れさせていただいているのですが、

あっという間に9回目の9月を迎えました。

人は、同じ時間を過ごしているようでいて、

その感じ方や受け止め方は人それぞれでございます。

今月も健やかに、しなやかに、時を重ねられたなら。と思う今日この頃でございます。

 

日本では江戸時代初期まで、太陰太陽暦が使われておりましたが、

その後、西洋暦を含め、先人たちによって作られた

今で言う旧暦と呼ばれるものを用いるようになります。

更に時を経て、太陽暦であるグレゴリオ暦へと改暦し、現在に至っています。

和風月名は、この先人たちによって作られた旧暦のお話でございます。

9月は長月(ながつき)と呼ばれておりますが、

旧暦と現在のグレゴリオ暦では少々時期が異なるため、

先人たちが見ていた景色は今の10月上旬から11月上旬頃の景色でございます。

景色という視点では、少しばかりフライングではありますが、

お着物の世界でも少し先の季節の色、柄をまとうことを粋としますし、

これから訪れる少し先の景色を想像しつつ、

粋に和風月名から広がる世界を覗いていただけましたら幸いです。

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長月(ながつき)と呼ばれるようになった語源も諸説あるのですが、

大きく分けると「自然」を主役に見た説と、

命の源といっても過言ではない「稲」を主役に見た説とございます。

当時の9月と言えば今で言う10月上旬から11月上旬ですので、

夜が長く、他の季節と比べると雨も多い時季でした。

この様子を切り取り、夜長月(よながつき)、長雨月(ながあめつき)と呼ばれるようになり、

これが後に短縮されて長月(ながつき)と呼ばれるようになったと言われております。

こちらの説を主流とする声が大きいように思いますが、

稲の様子にフォーカスした稲刈月(いなかりづき)、

穂長月(ほながつき)と呼ばれることもあったようで、

稲刈月、穂長月が次第に長月(ながつき)と呼ばれるようになったという説も残っています。

他には、先人たちが目にした旧暦の9月の景色はカラフルだったのでしょうね。

紅葉月(もみじづき)、菊咲月(きくさづき)、菊開月(きくさきづき)、

秋が暮れると書いて暮秋(ぼしゅう)という呼び名も残っております。

 

長月と言えば、百人一首の中に、

『今来むといひしばかりに長月の 有明の夜を待ち出づるかな』という歌があるのです。

簡単に訳しますと、

『「今すぐに行く」とあなたが言ったから、9月の長い夜を眠らずに待っていたというのに、

夜明けに出る有明の月が出てきてしまったじゃない。』ということなのですが、

この状況の受け取り方も様々なのです。

歌そのものは、「今すぐに逢いにいく」と言った男性を待っている女性の気持ちを詠んだ歌なのですが、

ただ単に、9月のある夜に、男性を待っていた女性の気持ちが詠まれているとも取れますし、

男性を長月(9月)まで何カ月も待ち続けている女性の気持ちが詠まれているとも取れるのです。

きっと、読み受け取る側の性格や、

その時々の心情によって見える風景が変わる歌のように思います。

皆さんの目の前に広がった風景の中に居る女性は、どのような女性だったでしょうか。

読書代わりに和風月名が含まれている歌をひとつ覗いてみるのも、

秋の夜長の一興かと思います。

少しずつ夜が長くなりますね。素敵な長月をお過ごしくださいませ☆彡

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