天日干しをしていたお布団を取り込もうとベランダへ出た。
ここで以前、「天日干し後のお布団の香り」への複雑な思いを解き放ってから、
もう、お日様の匂いに簡単に浮かれることはないのかもしれない、と思っていた。
だけれども、あのふっくらとしたお布団に体を預ける瞬間に香る、お日様の匂い(と思いたい)に、
私の身体は心地よさを感じずにはいられないようだ。
お楽しみに胸を躍らせながらお布団へ手を伸ばすと、
目の前を、真っ赤なボディーに黒の水玉がキュートなてんとう虫が横断中だった。
秋とは言え、まだ冬眠するには早いこともあり、散策でもしていたのだろう。
お布団の端に辿り着いたキュートなお客様は、
丸っこいボディーから羽を出し、夕焼け空へ飛び立った。
その飛び立った姿を見て思い出したことがある。
てんとう虫と言えば、農作物を荒らす害虫を片っ端から食べてくれることでも有名だけれども、
デンマークにある大学が実験のために、
ドローンを使って大量のてんとう虫をイチゴ畑に解き放ったというニュースがあった。
実験というのはオーガニック作物の栽培にかかるコストや手間暇に関するもの。
オーガニックフルーツや野菜の栽培には、手間暇や人件費もかかるため、
リーズナブルなお値段で店頭に並ぶことが少ないけれど、
より安全で、より安心して口にできるものを求める消費者は増えている。
それならば、農薬を使わないオーガニック作物の栽培に、
てんとう虫が農作物を荒らす害虫を食べる性質を使ったら、どのようなことになるのか。
これを、小さな畑で実験し始めたという話だったように記憶している。
人間たちに一方的に頼りにされ、ミッションを背負わされたてんとう虫たちが、
ドローンから畑を目がけて次から次に舞い降りてくる光景は、
ディズニーアニメの世界のようにも思えて、ワクワクした。
専門家が行っているプロジェクトなのだから、当然、様々な状況を想定していると思うけれど、
仮に多くの生産者たちがてんとう虫の力を借りたとして、
生態系に影響は出ないのか、てんとう虫はてんとう虫の一生を全うできるのか気になるところだ。
オーガニックの美味しいイチゴがリーズナブルに食べられる日が来たときには、
その背景に、てんとう虫たちの働きがあったのか、なかったのか。
ドローンの活躍はあったのか、なかったのか。
あなたの目で覗いてみてはいかがでしょうか。
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