幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

帰ってきた赤とんぼが知らせる秋。

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作業を終え、飲み物を手にベランダのガーデンテーブルへ移動した。

椅子に腰かけて、ガチガチに凝り固まった体を少しずつ伸ばした。

吸い込んだ秋の匂いは、少しだけ乾いた草木の香りがした。

あ、日焼け止め……。

うっかり塗り忘れている箇所に気が付いてしまったけれど、

日光浴、日光浴。

光合成、光合成。

増えろ、私の体内のビタミンDよ。

そうココロの中で、呪文のように呟いて飲み物を口に入れた。

ただただ、ぼーっと空を仰ぐ時間は、

全身の毛穴が開いて一斉に呼吸をし出すようにも感じられて

こうした体へのご褒美も大切だと感じた。

 

自分のことを労わることが苦手な女性は多いように思う。

周りを思う気持ちと責任感が前面に出てしまったり、

甘える自分に罪悪感を抱いてしまったり。

ちょっとした自信のなさが、もっと頑張らなくちゃと自分自身を追い込んでしまっていたり。

そのような状態になった時には、

自分と自分の体を少しだけ切り離して考えてみてはどうだろう。

あー、私の細胞が喜ぶことをしてあげようかな。

私の肩が、もうダメだ……って悲鳴をあけているからレスキューしてあげよう。

私のカラダが甘いものをおねだりしてる。しょうがないなぁ、今夜は特別ね。

こんな具合に。

 

そのようなことに思いを巡らせていると赤とんぼがテーブルの端にとまった。

本当に夕焼け色の体をしているのだなと、

夕焼けが凝縮されたようなこっくりとした深みのある鮮やかな朱色に目を奪われた。

そして、向こう側が見えるほどに透き通った羽の美しさといったら、もう。

昆虫は苦手なのだけれど、気付けば息をひそめて観察している自分に驚いてしまった。

赤とんぼと言えば秋の虫だと思われていることが多いのだけれども、

本来は、梅雨が明けた頃から既に飛び回っている。

ただ、暑さに弱いこともあり、夏の暑い時期は避暑地を求めて移動し、

高原などの快適な地で過ごしているという。

街中から高原までの移動距離を想像すると

体力は大丈夫?と他人事ながら心配してしまうけれど、

あの透き通った羽は見た目以上にパワフルなのだとか。

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日常の中で赤とんぼの姿を目にするようになったなら、秋、真っ只中。

そう思ったとき、

まだ何も秋らしいことはしていない……食欲の秋を除いて。と気付いてしまったのだ。

私の秋は、少々慌ただしい時間になりそうな気配なのだけれど、

自分のことも大切な人のことも労わりながら、

旬の味覚以外の秋も欲張って味わっていこうと思う、ある秋の日。

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