幸せのレシピ集

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大人になった今だからこそ感じられる、もうひとつの世界|『ひょっこりひょうたん島』編

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造形作家の方とやり取りをしていたときのこと。

本題は少しずつ脱線していき、気が付いたときには人形劇の話をしておりました。

子どもの頃の私は、お人形遊びや、おままごと遊びの類に興味がなく、

お人形は飾って愛でるものだと思っていたのです。

多分、お人形は人並みに好きだったのでしょうけれど、

自分以外の誰かになりきって遊ぶというものが苦手だったのだろうと思います。

そのようなことが影響しているのかまでは分からないのですけれど、

私は、人形劇というものを実際に観た経験があまりないのです。

観たと言えるのは、テレビなどの企画で

昔の人形劇が復刻されて放送されたものを偶然目にしたくらいかと。

その中でもテーマ曲のインパクトが大きく、

いつの間にか、知ったような気になっている人形劇があるのです。

NHK総合テレビで放送されていた『ひょっこりひょうたん島』という作品。

キャラクターを目にしたリ、テーマ曲を耳にしたリしますと、「あぁ、あれね」と思うのですけれど、

実際には何も知らない自分に気付き、

「あれ?私、全然知らないじゃない」とハッとしたことがあったのです。

好きだと思っていた人のことを何も知らなかったことに気付いた時の気分って、

きっと、このような気分なのかもしれませんね。

それから私は、急にこの作品のことを知りたくなって、

復刻版を観たり、作品の創作秘話などを追ったのです。

 

『ひょっこりひょうたん島』のあらすじはこう。

サンデー先生と子どもたちは、遠足で「ひょうたん島」へ行きます。

すると運悪く、突然、火山が噴火してしまうのです。

そして、この噴火の影響でひょうたん島は、サンデー先生と子どもたちを乗せたまま、

島ごと海へ流されてしまいます。

彼らは漂流しながら、ひょうたん島で生活を始めます。

その中で、ひょうたん島へ流れ着く人々や、

島が流れ着いた先々で出会う人たちとの間に起こる出来事を追うような形でストーリーが展開していきます。

 

癖のあるキャラクターたちの日々と、ときにハッとさせられる内容に、

当時の子どもたちは、どこまで、この中身を理解していたのだろうかと思ったら、

いつもの癖でストーリーの奥を覗いてみたくなってしまったのです。

すると、原作者のひとり、井上ひさしさんが、

『ひょっこりひょうたん島』のもうひとつの設定をお話された記事に辿り着きました。

 

そのもうひとつの設定といいますのは、

火山が噴火したときに、既にサンデー先生と子どもたちは全員死んでおり、

このストーリーは、死後の世界を描いたものだというもの。

もちろん、創作する過程でひょうたん島での食糧問題をどうするか、など

大人目線ならではの事情も絡んではいたようなのですれど、

食糧調達などの切羽詰まった状況が表れないのは死後の世界だからというもの。

さらに、子ども向けの作品であるにも関わらず、

霊場などで流されることが多い「ご詠歌」が劇中で使われていたり、

四国遍路、四国巡礼を思わせるような表現も幾度も登場します。

このような、もうひとつの設定でストーリーを見ますと、

また違った見え方をする作品なのですが、

人が避けて通ることはできないテーマが根底にあるからこそ、

長い間、世代を超えて触れることができているのかしら、と思ってみたりしております。

もちろん、個性的でチャーミングなキャラクターたちとストーリーの魅力あってこそだと思うのですけれど。

 

『ひょっこりひょうたん島』の存在を知っている方は多いかと思います。

触れる機会がありましたら、

大人になった今だからこそ感じられる、

もうひとつの世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

画像出典:https://jp.pinterest.com/