レジで受け取ったおつりにピカピカの10円硬貨が紛れていた。
あまりにも神々しかったため、つい、そのピカピカを避けるようにして
手のひらの上の硬貨を数枚、レジ横の募金箱へ入れた。
自宅に戻り、新しい10円硬貨をお財布から取り出してみると昭和の文字が刻まれていた。
そこそこの年数を生き抜いてきているにも関わらず、
美魔女レベルの輝きを放つ硬貨に、思わずへぇーっと声が出た。
輝き具合から察するに使われずに保管されていたのだろうかと、
硬貨の歩んだ人生を勝手に想像していたのだけれど
文字の凹凸の隅に残る黒っぽいものを見つけ、遠い学生時代に試した実験のことを思い出した。
その実験というのは、様々な人々の生活を触れ渡るなかで
味わい深い色にくすんでしまった銅製の10円硬貨を新品のように蘇らせるというもの。
銅は空気中の酸素に触れると参加し黒くくすむ性質がある。
うろ覚えだけれども、酸化銅とか言うのではなかっただろうか。
酸化銅に変化してしまった銅を元に戻すには酸素を取り除けばいいということで、
酸素を取り除くことができるであろう洗浄剤として、
食器用洗剤から石鹸、食用油、レモン果汁やお酢、タバスコなど
身の回りにあるものを使って実験が行われた。
私は塩を溶かしたお酢に10円硬貨を浸す班で、
あっという間に10円硬貨からくすみが消えていった記憶がある。
教科書を追うだけの授業であれば記憶に残っていなかったかもしれないけれど、
実験をさせてもらえたおかげで、この時のことが地味に日常で役にやっているのだ。
先日は、ピカピカに磨きたい銅製の小さなトレーや箸置きがあったので、
ジップロックにお酢とお塩を入れてトレーを浸し空気を抜いて1分程でピカピカに。
磨くことすらせずに、浸して水洗いして水滴を拭っただけ。
確か漂白剤のようなものでもピカピカにすることはできたけれど、
自宅にあって素手で触れても安全なもので対処できるに越したことはない、
と思っている私には非常に重宝している方法だ。
銅製のものによっては、その酸化具合が味にもなるけれどピカピカにしたい時には、
自宅にあるもので簡単に、皆さんもいかがでしょうか。
実験をした当時は、その時の経験が遠い未来で役に立つなんて、全く思いもしなかったけれど、
何がどこで役立つか分からないものだ。
いつだって未来は想像を軽々と超えていくのだろうな。