不要なものを処分しようと、張り切って掃除をしていたときのこと。
一度で済ませてしまいたいと欲張り、物の配置換えも同時に行っていた。
人は、自分がリズミカルに動くことができていると感じると調子にのってしまうものなのだろうか。
それが自分のキャパシティーを超える動きであったことに気が付かず、
運んでいた物を辺りに豪快にぶちまけた。
実は、そろそろやってしまうのではないかと思っていたのよね……。
まるでそばで見ていた母親が口にしそうな台詞が、脳内をゆっくりと通り過ぎた。
BGMとして流していたメロディーが、普段よりも強く、空間に染み渡るように感じられ、我に返った。
その時、無理をして運んでいたものが悪かった。
それらは散らばりついでに壁紙や床、私の足の甲を軽く傷つけた。
運ばれていた物からすれば「傷つけた」などという言われ方は不本意だと思うけれど、
ここはあくまでも私目線だ。
傷痕が残りやすい体質の私は片付けを中断し、とり急ぎ、自分の足の甲をケアした。
そして、壁紙や床を補修していたのだけれど、ふと、
傷が完治するまでにかかる時間は、その傷ができた時間帯によって異なる。という話を思い出した。
確か、英国にそのようなことを研究している研究者チームがあり、
彼らの発表によると、昼間にできた傷は、夜間にできた傷よりも早く治るのだとか。
どうして、傷ができたタイミングによって完治するまでの期間に差が出るのか。
これには、睡眠リズムや新陳代謝などの周期をコントロールしている体内時計が影響しているのだという。
傷は、皮膚細胞が、あるタンパク質を使って修復するそうなのだけれども、
この、傷の修復に携わっているタンパク質は、夜間よりも日中の方が活発に働く性質があるため、
昼間の傷や怪我といった皮膚の損傷場所には、すぐに駆け付けることができるそうだ。
このニュースを目にした当時、私たちは自分の力で生きているように思ってしまう場面が多いけれど、
本当に様々な意味で、視点で、生かされているのだと感じたこともあり、
何となく記憶の隅に残っていたのだ。
時々、「最近は傷の治りが遅くて……。年齢のせいかしら」という話を耳にするけれど、
もしかしたら、傷の修復に携わっているタンパク質の労働時間によるもの、ということもあるのかもしれない。
とは言え、傷の治りが遅い要因に「加齢」ももちろん含まれている。
他には、新陳代謝が落ちて肌の再生能力が落ちているというもの。
更にビタミンCが不足していることによって免疫力や治癒力が低下していたり、
細胞を錆びさせてしまう活性酸素やストレスを取り除くことができていなかったり、
健やかな皮膚を作ることができるだけの量が送り込まれていなかったり、といった原因も考えられる。
何かとすることが多い日々で、
睡眠は削ることができるものだと無意識に扱ってしまうこともあるけれど、
時には原点に立ち返って、
しっかりと眠ることを他のモノゴトと同じように大切に扱ってみるのも良いのではないでしょうか。
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