シュッ、シュポッと、やる気のない音とともに飛び出したのは、スカスカの泡状のハンドソープ。
手のひらの上に乗っている明らかに足りないそれを軽く洗い流し、
詰め替え用パッケージに記されていた「バイ菌」という文字を眺めながら、
液状のハンドソープをボトルに流し入れた。
ふと思う。子どものから「バイ菌」という言葉を使っているけれど、
ウイルスや細菌と何が違うのだろうかと。
今回は、そのようなお話を少し、と思っております。
お時間がありましたら、お付き合いくださいませ。
正直、バイ菌という言葉を辞書で調べたことは無い。
だけれども、体に良くないもの、汚いものを指す言葉として認識し使っている、
詳しくは知らないけれど、当たり前のように知っているフシギな言葉なのだ。
大人になって初めて調べてみた「バイ菌」。
漢字では「黴菌」と記すのだと知った。
使われている「黴」という文字はカビを表す文字なので、言わんとすることは理解できた。
一度覚えてしまえば簡単な感じではあるけれど、
日常使いには少々不向きであるように思う、この文字を見ると、
「バイ菌」「ばい菌」と記されるようになった経緯が何となく理解できるような気がした。
そして肝心な意味は、「人体に有害な微生物の総称」だという。
有害な微生物には、ウイルスや細菌なども含まれるそうなので、
私たちの体内を脅かす、目には見えない小さな存在は全て、バイ菌であり、
バイ菌という名の菌はこの世には存在していないということだ。
ウイルスは、目に見えない存在だけれども、細胞を持っていないといい、正確には「微生物」ではないのだそう。
だけれども、遺伝子を持っているため増殖することができるため、
細胞を持たない生物と言われ、「微生物」に振り分けられているのだとか。
私たちの体がウイルスに感染したときのことをイメージしながら読み進めて欲しいのですが、
ウイルスは、ウイルス単体では増殖することができないのだそう。
だから、まずは、人や動物の体内に入り込み細胞を乗っ取りスタンバイ。
そして、そこに送り込まれてくる栄養分を、
体の持ち主である細胞から奪い取ることで増殖し、乗っ取り範囲を拡大していくというのだ。
ウイルスに感染した側は、栄養が体に行き届かず、細胞も思うように機能しなくなり、
辛い状態になり、専門家のお世話にならなくてはいけなくなります。
厄介な点は、ウイルスは細胞を持っていないため、
細胞膜を壊すことで菌を退治する抗生物質が効かないということ。
こうして紐解いてみると、ウイルス感染のニュースを知った時の理解度も変わってくるのではないだろうか。
細菌は、バクテリアと呼ばれたりもするのだけれど、
ウイルスと異なっている点は、細胞膜を持っていおり、
細胞分裂によって増殖することができるということ。
細菌は、私たちの体に害があるものだけではなく、腸内細菌などもある。
腸内細菌と言っても、人によって持っている細菌が異なっていたり、
体質や各自の腸内環境によって必要な菌が異なることからも想像できるように、
その種類や生存可能範囲は幅広いようだ。
バイ菌という響きや文字から、それほど緊張感を感じないのは私だけだろうか。
某アニメキャラクターの影響なのか、
慣れすぎてしまっている言葉だからなのかは分からないけれど、
想像以上に、ざっくりとした総称であるという印象を受けたことを思い出しながら
ハンドソープボトルからシュワッ、シュワッという音と共に
滑らかでもっちりとした泡を出した午後。
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