会うたびに新たな成長を見せてくれる、私の小さなオトモダチたち。
ワタクシ、子どもを子ども扱いしないというスタイルで過ごしており、
友人の子どもたちのことは愛情を込めて、小さなオトモダチと呼んでいる。
彼らは、確実に出来ることが増え、言葉も増え、遊び方も変わっていく。
いつまでも「小さなまま」だと思って接すると面食らってしまうのだろうなと思う。
いつだっただろうか。
多分、春風が肌に心地よい今頃の季節だったように思う。
久しぶりに小さなオトモダチも交えてランチでもという話になった。
予め、お店は決めていたのだけれど、あまりにも天気が良かったため、
お弁当やお菓子を買い込んで大きな公園でピクニックを楽しむことにした。
予定が押し、ランチの待ち合わせに少し遅れてしまった私の代わりに、
彼女たちが買い物を済ませてくれていた。
私のお弁当やデザートは、全部自分が選んだと小さなオトモダチが自信たっぷり、全身で伝えてきた。
学校で習った漢字も増え、色々と読めるようになったのだとか。
街中の騒音をかき消すような声とテンションで近況報告をしてくれた。
「柊希ちゃんは最近どう?」
突然飛び出した大人びた発言にドキッとさせられたりもしながら、
到着した公園内の、芝生で覆われている開放的な場所に腰を下ろし、
オトモダチが選んでくれたお弁当を覗き込んだ。
カラフルなお野菜がたっぷり入った、見た目も楽しいお弁当だった。
少々記憶が曖昧だけれども、
パッケージには「厳選した白米を使用」と言ったことをPRするシールが貼ってあったように思う。
オトモダチは、それを指さし「しろこめ」が入っているから美味しいよと言った。
母親である友人が、それは「しろこめ」ではなくて「はくまい」と読むのだと笑いながら突っ込んだ。
すると、オトモダチは「しろ(白)」と「こめ(米)」だもん、しろこめ(白米)だもんと言い返した。
私は、しばらく続いた、そのやり取りを微笑ましく眺めながらお弁当を並べていたのだけれど、
正しいことを教える母親と、習ったはずの漢字の読み方を間違いだと言われ
明らかにテンションが下がるオトモダチとの間に妙な空気が漂ったため
「しろこめ」って書いてあるね。と言ってみた。
オトモダチは、真剣な眼差して何度も頷きながらパッケージを手に近づいてきた。
「しろこめ」でも間違いじゃないけれど、
これは「はくまい」って読みましょうっていうお約束があるのだと伝えてみた。
すると、誰が決めたお約束?と返ってきた。
まぁ、そうなるよなーと思いながら、昔の人が決めたから私にも分からないと返すと、
腑に落ちたのか「はくまい」が入っているから美味しいよと、パッケージを再度私に差し出した。
これで、この件は落着したのだけれど、
その後、友人と、よくあるシチュエーションだけれども、
こういうことを伝えるのは難しいものだという話になった。
決して間違いではないのだけれど、そうではないという事柄は世の中にはいくらでもある。
「しろこめ」発言が可愛らしかったものだから、大人である私たちは笑ってしまったのだけれど、
正しいことを言ったのに笑われてしまったオトモダチは、
否定から入られたような気持ちになり、胸がチクリとしたのかもしれない。
些細なできごとではあったけれど、決めつけから入らない余裕や、
共有してみる余裕がもう少し自分にあっても良かったのではないだろうかと、考えさせられた。
その時、オトモダチが私のために選んでくれたデザートのカップケーキには、
可愛らしい猫の顔がデコレートしてあった。
そして、この日私が口にしたデザートは猫型のアイシングクッキー。
猫スイーツが、私とあの日の記憶を優しく引き合わせたようだ。
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