先日、ご祝儀袋の予備を購入したこともあり、
今回は、水引に使われている紙縒りの本数に込められている意味を覘いてみませんか。
少しばかりマニアックな視点ではありますが、
お作法をルールとして確認したり、知識ボックスに詰め込んだりするのではなく、
その背景にある、ちょっと素敵なエピソードと共に楽しんでいただければと思います。
水引は、慶弔の際に贈り物をするようになったことで生まれたものです。
シールなど無い時代でしたから、品物を包装し、包装が解けてしまわないように止める役目のものでした。
資源にも限りがあったため、和紙を捩じるようにして紙縒り(こより)にし、
その形状を保つために水糊を塗って(引いて)乾かして作られ、水引と名付けられたと言います。
この水引、当初は神事にお供えする供物を束ねる際に使われていました。
現在のように多くの色を生み出す技術が無かったことも関係しているのでしょうけれど、
神聖で清らかで、清浄であるといった意味が含まれている色が「白」であったため、
使われる水引は白だったようです。
そして、水引に色が使われるようになり、色が使い分けられるようになったのは、
古の日本で執り行われていた行事や、まつりごとで着用されていた衣装の色と、
中国から伝わってきた陰陽五行説がもとになっていると言われています。
水引の色に限らず、古より伝わる行事や、まつりごとで使用されている色は、
その時代に手に入れることができ、使うことができた資源と、
先人たちが持っている技術によって決められていました。
ですから、当時よりも資源と技術が豊かな状況に身を置く私たちは、
先人たちが表現しきれなかった思いを、遊び心と共に表現できるようになっていることが、
ご祝儀袋などの種類の多様化にも現れているように思います。
しかし、格式を重んじる場では、基本的な水引の使い分けを誤ってしまいますと、
お相手側に対して失礼になるため、この辺りのお作法は、大人であれば折に触れて再確認しておきたいことでもあります。
日本古来の行事や、まつりごとで使用されてきた色分けと、
中国から伝わってきた陰陽五行説を元にして水引を見ますと、
使われている色や結びの形にはメッセージが含まれていますが、
紙縒りの本数にも意味やメッセージが込められているのです。
まずひとつめは、偶数を陰数、奇数を陽数とする陰陽説が元になっておりますので、
水引に使用する紙縒りの本数は奇数で使用することがお約束です。
更に、5本を1セットにして作る水引を“基本結び”としており、
巷で目にする3本で作る結びは、この5本で作る基本結びを簡素化したもので、
7本で作る結びは5本結びをより丁寧にしたものです。
結婚のお祝いに使われる水引の中には10本使って作られたものもありますが、
これは豪華に見えるからという理由ではなく、
奇数であり陽数である5本を倍数にした数とみており、
縁起がよい陽数が重なり全てが満ちているという意味を含んでいます。
奇数を縁起が良いとみるのであれば9本でもいいのかしら?と思いますが、
こちらは、奇数ではあるものの、ご想像通り苦痛、苦しみに通じるとされ、使わないことになっております。
ふたつ目は、5本使って作る基本結びには、5本の指=手を表しているという説です。
水引が左右から伸びて中央で結われる様子は、
贈る側と贈られる側が握手してご縁を結んでいる様子を表していると言われています。
最近では、5本で作る結びの簡素化バージョン、3本結びの水引が多いようにも感じますが、
大切な方の特に大切なシーンに使うのであれば、
5本の紙縒りを使って作られた水引を選んでみてはいかがでしょうか。
お祝いメッセージを添えることができるのであれば、意味合いを簡単に添えてもいいかもしれません。
水引モチーフのアクセサリーを選ばれる際や、水引を選ばれる際、目にした際には、
今回のお話をチラリと思い出していただけましたら幸いです。
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