バスターミナルに設置してあるベンチに腰かけ、靴紐を通している方がいた。
靴を脱いだ方の足は、もう片方の足の上に乗せられてブラブラと揺れていた。
明かに左右異なる紐色に、靴紐が緩んだのではなく、切れてしまったか何かのアクシデントに見舞われたのだろうと思った。
私の記憶に残っていないだけなのかもしれないけれど、
私は靴紐が切れたという経験が無いまま現在に至っている。
歩行中や運動中にブチッと切れてしまったら、何かと大変なのだろうなと思った。
いや、それよりも何か不吉なことが起こるのではないだろうかと、少し気を揉んでしまうだろうか。
アスリートたちは靴紐のメンテナンスを欠かさないと言う。
もちろん、安全に思いっきりプレイするためであり、基礎中の基礎なのだろうけれど、
日本には、出かけようとした際に靴紐が切れると、良くないことが起こるという迷信があるからではないだろうか、とも思う。
今回は、この迷信が生まれたきっかけのお話を少し。
お時間がありましたら、秋らしいお飲み物片手に、迷信の裏側をのぞいていって下さいませ。
この迷信は、古の日本で行なわれていた土葬の習慣から生まれたと言われている。
この頃の葬儀と言えば、今のように自動車があったわけではないため、
参列者たちによって棺桶が担がれ故人をお墓まで連れていき、見送っていた。
そして、無事に故人を土葬して見送り、お墓から自宅へと帰る際には、
履いていた真新しい草履を脱いで鼻緒を切って捨て、予め持ってきていた自分の草履に履き替えたという。
これは、墓場に住む化け物たちが、捨てられた草履を履いて良からぬ悪さをしに、
人里へ来ないように防ぐためにしていたなのだそう。
このような習慣が、鼻緒が切れることと死を繋げて想像させ、
鼻緒が切れると縁起が悪いという迷信を生んだと言われている。
それから随分と年月が経ち、時代も経ており、私たちが使う履物も随分と進化し、
鼻緒も靴紐も、そう簡単には切れなくなったのだけれど、
出かけようとした際に靴紐が切れると、良くないことが起こるという迷信は、今も尚受け継がれている。
皆さんの靴の紐は大丈夫でしょうか。
そう簡単に切れてしまうような靴紐ではありませんが、転んでしまっては大変ですので、
お出かけの際には、靴紐をキュッと締め直して下さいませ。
本日も、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
今日も良き日となりますように☆彡
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