調べものをしている最中に目に入った古い絵本を手にとった。
イタリアの作家によって書かれた古典的なファンタジー作品、ピノキオ(ピノキオの冒険)だ。
とても素敵な色使いと優しいタッチが特徴的な一冊で、その雰囲気に一目惚れをして購入したものだ。
洋書版ではあるのだけれど、その絵を眺めているだけでも十分にストーリーを追うことができる、見応えある一冊だ。
それなのに、もう随分と長い間、開くことがないままダンボールの中か、書棚の奥に押し込められている。
ふと、本と英語が好きだと言う友人の子どもに譲っても良いのかもしれないと思い、書棚の外へ出しておくことにした。
行き先は子どもなのか、大人のか分からないけれど、私よりも大切にしてくれる人の元へ辿り付くのだろう。
その前の下準備を兼ねて本の中身を確認していると、栞として使ったままになっていた紙切れが見つかった。
私の、良くない癖である。
栞を持っていないわけではないのだけれど、わざわざ栞を取り出してきて挟むよりも、
その時、身近にあった紙切れやポストカード、ショップカードなんかを挟んでおく方が手っ取り早いため、つい、それらを栞として使ってしまうのだ。
そろそろ、この癖を止めたいところなのだけれど、幸い、大きな失敗に繋がっていないからなのか、止めるきっかけを掴みそびれたまま、今に至っている。
さて、ピノキオに挟んであった紙切れには何が……。
恋文やネガティブな文面でないことを祈りつつ開いてみると、そこには、ポルケッタの文字と共に、レシピが走り書きしてあった。
ポルケッタとはイタリア語で豚の丸焼きと言う意味で、イタリア版・ローストポークのことだ。
イタリアンのお店の名前に使われていたり、メニューにポルケッタの文字が記されていることも多いため、
何となく聞いたことがあるような……と感じる方もいらっしゃるかもしれない。
どのようなローストポークなのかと言うと、
塩漬けした豚肉にハーブやニンニクなどの詰め物をしたり、巻き込んだりして形成したものを焼き上げたものだ。
ブロック肉を使うため、焼き上げる際に余計な脂は落ち、肉汁は閉じ込められているため、
お肉は、外側はカリッと香ばしいけれど、中はしっとりとジューシーで食べやすく、思うよりもサッパリと食べられるメニューである。
少し厚めに切り分けて、付け合わせを添え、おもてなしメニューにすることもできるけれど、
私は、スライスしたものとお野菜などを、フォカッチャやバタールなどのパンに挟んでサンドウィッチにするのがお気に入りだ。
お酒を召し上がる方は、お酒のお供にも良いかと。
お肉を軽く解してサラダに混ぜ込んでも良いため、ブロック肉を使って多めに作ってたとしても、
最後まで飽きずに食べきることができる点も嬉しいところである。
もともとは、お祝いの席で食べられるお料理だったようなのだけれども、今ではイタリアでポピュラーな、お惣菜のひとつ、といった位置づけのメニューのようだ。
ピノキオの絵本に挟まれていた紙切れの中身は、そのポルケッタのレシピだったのだけれども、
誰かに教えてもらったレシピなのか、インターネット上で目にしたレシピなのか、『絶品』の赤文字と一緒に記されていた。
確かに私が書いた文字だったけれど、本当に絶品レシピなのだろうかという疑問を浮上した。
絶品と書いているからには、その真意を確かめねばならないため、
近々我が家の食卓には、『絶品』らしいポルケッタが登場するように思う。
イタリア版のローストポーク・ポルケッタ、ご興味ありましたら年末年始の一品にいかがでしょうか。
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