パソコンやスマートフォンの文字変換機能と連動している学習機能に惑わされることがある。
知っているはずの言葉なのだけれど、同音の言葉をご丁寧にいくつも並べられると、ふと、どれだったかしら?と思ってしまうのである。
このような場合の多くは、一番初めの直感が正しいことが多いけれど、
「こちらの文字もありますよ」「お探しの文字はこちらではないですか?」「このような組み合わせの文字もございますが」「先日お選びになったのは、こちらの文字です」と、
無言セールスにも感じられる選択肢を前に、自信を吸い取られてしまうのだ。
学生の頃であれば手が覚えている文字という判断方法を利用して、空に文字を書いてみるというようなこともできたけれど、
パソコンやスマートフォンに頼りっきりの私は、それも心許ないというのが正直なところだ。
どうしてこのような話題なのかというと、先日、いくつかの文章を手書きしていたときに、ふと正解を求めて手が止まってしまったからである。
そして、私の手を止めたその時の言葉は「メド(目途・目処)」である。
今回は、そのようなお話を少しと思っております。
「メド」の漢字(目途・目処)を目にし、使い分けが曖昧だと感じられました方は、この機会にセルフチェックしてみてはいかがでしょう。
ご興味ありましたら、柊希にお付き合い下さいませ。
使い分けの再確認と言っておきながら、裏ワザのようなものを頭出しさせていただきますと、
この言葉の漢字表記に迷われた際には、ひらがなかカタカナで「めど/メド」と記載してもよい、と覚えておくと安心です。
本来は、それぞれの表記に、それぞれのニュアンスがあり、使い分けをすることができるのですが、
どちらも似通った意味を持っているため、使い分けが難しいシーンや誤解を招きたくないシーンでは、敢えて漢字を使わないという選択肢もあります。
これは、新聞などで採用されている表記法ですので、知識ボックスの片隅に是非。
そして、冒頭から脱線してしまいそうなのですが、「メド」という言葉の語源には諸説あるのですが、その中にこのようなエピソードがあります。
占いの占術のひとつに、細い竹のような棒の束を使って占う「易(えき)」というものがあります。
この棒の材料として「めどはぎ」と呼ばれる植物の茎が使われていたことがあるそうで、
この「めどはぎ」が「メド」の語源ではないかという説があるのです。
語源と言われるようになった流れとしては、「めどはぎ」の茎が占いに使われるようになったことから、占いを「メド」と呼ぶ人たちが現れます。
そして占いは、未来を推測して忠告や進言することから、
少し先を見通すことや目標のようなものを「メド」と表現するようになったのではないかと。
漢字や言葉の響きから占いを連想することは少ないと思うのですが、
このような視点で言葉に触れると、語源のひとつとして挙げられていても、そう違和感を覚えることは無いのではないでしょうか。
最後に、本日の本題である「目途」と「目処」の使い分けを押さえておきましょうか。
「目途」には、目標や目的といった意味があるのですが、
この中でも特に、「目標」という意味で使われることが多いため、何かしらの最終ゴールである目標があった上で使うと良い言葉です。
一方の「目処」が持つ意味も、前者とほぼ同じなのですが、
目処には、見当や見通しといった意味が加わりますので、こちらは、主に先の見通しに対する状況を表すときに使います。
このように使い分けることができるのですが、両方の意味を含ませたいときや、
どちらを使うべきか迷ったときには、「めど」や「メド」という表記を使うと良いかと思います。
ついつい、楽な表記を多用してしまいがちですが、セルフチェックついでに背景のエピソードに触れてみますと、
記憶や知識を定着させる手助けになることもあるのではないかと思います。
お勉強というような固い視点ではなく、お好きな視点や、新たな視点と共に、言葉を自由に楽しむキッカケにしていただけましたら幸いです。
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