幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

丸刈りにされた街路樹から思うこと。

f:id:hiiragi1111:20190122124438j:plain

自宅近くには街路樹が植えられている道路がある。

春は若葉が茂り、夏になればその若葉の色に深みが増していき天然の日除けアーケードとなる。

秋になれば、深緑色をした葉は黄色く色づき木枯らしに舞い、冬は落ちずに茶色く枯れ果ててしまった葉を少し残したまま、再び若葉が芽を出すのを待つ。

そのような景色の道路である。

一年の半は緑色の葉に覆われている街路樹なのだけれど、葉が落ちて縦横左右、自由に伸びた枝が剥き出しになっている姿は、

それはそれで街路樹本来のシルエットが際立つようにも見えて、ある意味味わい深いと感じていた矢先のことだった。

切り落とし過ぎではないかと思うくらい、枝がバッサリと切り落とされ、電柱に毛が生えたような姿で並ぶ街路樹が視界に飛び込んできた。

昨日まで長髪だったはずの男の子が、突然丸刈りで登校してきた姿を見たときの驚きにも似た感じがした。

f:id:hiiragi1111:20190122124503j:plain

聞くところによれば、この街路樹を寝床にしている野鳥の集団がおり、糞の被害も随分と増えてきたため、やむを得ず、切り落とすことができる枝を切り落としたのだとか。

また、弱っている野鳥を狙っているのか、鳥にとって良い環境が揃いつつあったのか、ハトやカラスも増えはじめていたようで、

彼らに対して、人間側の縄張り主張という意味を持った剪定でもあったようだ。

以前、ここ10年ほどの間に、ツバメの巣をスズメが乗っ取って子育てをするようになっているというニュースを目にしたことがあったのだけれど、

鳥たちの住宅事情も厳しさがましているのかもしれない。

そのようなことを思いながら、個性をそぎ落とされてしまった街路樹を視野に捉えつつ、駅へ向かった。

このようなことを考えている時は不思議なもので、そのような類の話が目や耳に届くことが多い。

その日は偶然にも、カラスは40種類ほどの言葉を使い分けているという記事を目にした。

これが多いのか少ないのか、私には判断し兼ねたのだけれど、鳥の中でも賢いことで通っているカラスのことだから、群を抜いているのだろうとい予測のもと読み続けた。

すると、カラスの鳴き声を分析したところ40種類のパターンがあり、彼らはそれを使い分けることで仲間に警戒を促したり、逃げろと伝えたり、

互いを威嚇しあったり、求愛したりというコミュニケーションを取っているのだそう。

そして、この鳴き声のパターンを、カラスが人の生活圏に近づかないようにする装置の開発に使っているという。

ただ、カラスは人間が思う以上に賢いのだろう。一筋縄ではいかないようなことが綴られていた。

f:id:hiiragi1111:20190122124534j:plain

私はふと、正式名称は控えさせていただくけれど、黒光りした手強い虫(私はゴッキーと呼んでいる)のことを思い出した。

カラスも、人が新たな策を講じれば、すぐさまそれに適応し進化を遂げる彼らと似ているのではないかと。

人も野鳥も、人もゴッキーたちも、互いに切磋琢磨しながら共存しているとも言えなくもないけれど、世の中の縮図は至るところに。

「終わらないのだろうな、この戦いは」と思った出来事と記事だった。

そして、鳥の糞に悩まされるのは避けたいけれど、今年の春も、春風に揺れるフサフサヘアーの街路樹の下を歩きたいと願う冬の日である。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/