幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

幻のフォークが、いつの日か違う形で花開きますように。

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テレビを点けると、とある女優さんがラーメンをすすっている映像が映し出された。

麺がリズミカルに口の中に吸い込まれていく様を見ていたら、ラーメンを食べたいという衝動が湧いてきた。

それくらい、美味しそうに見えた。

私は麺類をリズミカルに吸い上げることが苦手で、美味しい麺を美味しそうに食べることができない。

こっそりと吸い上げる練習をしてみたこともあるのだけれど、それはそれは高い確率でむせ込み、食事どころではなくなってしまうという残念具合である。

麺をすすることができてもできなくても、自分が美味しいと感じられているのであれば粗方問題は無いのだけれど、

作ってくださった方や一緒に食事をしている方に、「美味しくないのだろうか」という変な誤解を招きたくないという思いがチラリと過るものだから、

麺をリズミカルに吸い上げられている方を見ると、上手だなと感心してしまうのだ。

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ワインやお蕎麦などは空気に触れさせること香りが立つことから、香りを楽しむ飲み物、食べ物でもある。

正式なワインのテイスティングは、ワインを一口だけ口に含み、舌の上で軽く転がすけれど、この時にズズズズーッと音を立てながら香りを立たせる。

お食事中に立てる音はタブーとされているけれど、こちらは容認される。

日本食のお作法も、音をたてながら食べることはお行儀がよろしくないとされているけれど、

お蕎麦は、すすることでお蕎麦そのものを空気に触れさせて、よりしっかりと香りを楽しむものとして、音を立てて食べることを粋としてきた背景があり、容認されている。

私個人としては、各々の文化という意味で同じじゃないかと思うのだけれど、

どういうわけだか、麺をすするときの音は外国人からは非常に不評である。

この辺りは文化の違いでどうすることもできないのだけれど、他国のことを深く知る機会が無かったり興味がない人たちにとっては、

自分自身の常識や文化を基準にして目の前のことを見るため、音を立てて麺を食べることは非常識な行為で、恥ずかしい行為だと映るようだ。

このような言い方をしてしまうと、二者択一のように聞こえてしまうけれど、

「日本で生まれ育ったから」「日本人だから」という理由で、この音に違和感を覚えない人ばかりだとも限らず、日本人でも嫌だと感じる方は当然いる訳なので、

麺をすする音に関しては賛否両論あるのが現状である。

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そう言えば昨年、麺でお馴染みの日清食品が、麺をすする音を打ち消すフォークを開発したというニュースがあった。

クラウドファンディングを利用しての発表で、販売には至らなかったようなのだけれど、

そのフォークには、フォーク周辺の音を感知する機能が備わっていて、

フォークが麺をすする音を感知するとスマートフォンに信号が送られて、

専用アプリから、麺をすする音を掻き消す音が流れるようになっているのだとか。

これを聞いた私がとっさに思い浮かべたのはトイレにある音姫機能である。

そして、麺をすするのを止めましょうと謳うのではなく、「思いっきりすすっていただいて構いませんよ、その音は他の音で掻き消しておきますね」という、

角をたてずに双方を立てる日本人らしい発想に、ニヤリとしてしまった。

※クラウドファンディングというのは、自分の技術を生かした製品を作りたい、サービスを提供したいというようなアイデアを専用サイト上で公開し、内容に共感してくれた人から資金を援助してもらうシステムのこと。発案者にもよるのだけれど、資金を援助してくれた方々は発案者から、お礼や見返りとして品物やサービスなどが届けられることもある。

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日本の文化が否定されることに対しては複雑な思いが無いわけではないけれど、

郷に入っては郷に従えというのも、今や一方的すぎてナンセンスであるようにも思う。

今回は商品化には至らず幻のフォークとなってしまったけれど、

今回のように、答えが一つだとは限らないものごとをまとめる発想は、いつの日か違う形で花開くといいなと思う。

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