先日立ち寄った花屋には、花びらの先端がフリンジ状になったチューリップが多数入荷していた。
とても洒落たチューリップなのだけれど、その日はスタンダードタイプを欲していたため、購入しないまま花屋を後にした。
帰り道、せっかくの機会だったのだから、フリンジタイプを冒険すれば良かったと小さな後悔をした。
その日はチューリップが頭から離れず、次こそはと思っていたからだろう。
我ながら、突拍子もないことを思い出すものだなと思うのだけれど、ふと、「おやゆび姫」はチューリップから生まれていたような、そのようなことを思った。
「おやゆび姫」とは、幸せのレシピ集内で時々登場する、童話作家アンデルセンの作品である『おやゆび姫』に登場する少女のことである。
『おやゆび姫』は子ども目線で読めば一見、壮大な冒険物語のように見えるのですが、登場する動物や花、虫には、あるメッセージが含まれています。
今回は、そのようなお話を少し、と思っております。
ご興味ありましたら、大人の読書気分でお付き合い下さいませ。
あらすじを簡単におさらいしますと、ある女性が子どもを授かりたいと神様にお祈りし、神様から一粒の種を受け取るところから物語はスタートします。
少し補足させていただくと、物語の冒頭で女性が願いを話した相手、いただいたアイテムですが、
ここは、神様だったり魔女だったり、種だったり麦の粒だったりと幾通りかの表現があるので、各々が子どもの頃に読んだ本によって多少の認識違いがある場面かと思います。
冒頭で登場する女性は、こうして手にしたアイテムを植えるわけですが、この時に芽を出した植物がチューリップで、そのチューリップの花の中から生まれた小さな女の子が「おやゆび姫」です。
この後、親指姫は小さいままではあるものの、健やかに成長していたのですが、
あるとき母ヒキガエルにさらわれて、息子ヒキガエルのお嫁さんにさせられそうになります。
最終的には花の国(/森の国)の王子様と結ばれるおやゆび姫なのですが、
そこに至るまでヒキガエルをはじめとする様々な動物や虫との結婚話が持ち上がります。
心変わりが激しいコガネムシ、裕福だけれども自分が見たことがない世界のことを悪く言うモグラ、おやゆび姫に強い恋心を抱いて手助けしてくれるツバメなど。
例えばコガネムシ。
コガネムシは物語の中で、おやゆび姫のことを気に入ってさらってきたにも関わらず、
他のコガネムシたちから「その子は可愛くない」「その子はヘンだ」などと言われたら、だんだんとそのような気がしてきて、おやゆび姫を捨ててしまいますよね。
この、周りの声に流されてしまったり、惑わされて自分の意見をころころと変えてしまう様子を、
コガネムシの体に光が反射したときの、体の色が変化と重ね合わせているとも言われています。
もうひとつ、ツバメを見てみましょうか。
ツバメは物語の中で、おやゆび姫に対して恋心を抱いており、おやゆび姫が幸せになるための手助けをしてくれた存在ですが、
ツバメは新しい世界へ人やモノを運んでくれる神秘的な鳥、不思議な鳥、幸せの鳥と言われています。
物語の中でも、地中で暮らしていたおやゆび姫を新しい世界へと運び、花の国(/森の国)の王子様と出会うキッカケの一つになっています。
このように、『おやゆび姫』に登場している人物、動物、花や虫には、何かしらのメッセージが含まれていますので、
そのメッセージから物語全体を覗きなおしてみますと、単なる冒険物語ではなく、モノゴトの見方、見え方、大切なモノゴトなど、人の心理などが含まれていることに気付くこともできます。
ひとつずつご紹介したいところなのですが話は尽きない為、続きはまた機会がありましたら……ということで、今回はこの辺でお開きとさせていただきますが、
お時間ありましたら、子どものときに触れた『おやゆび姫』にもう一度、大人目線で触れてみてはいかがでしょう。
今だからこそ見える世界、感じられる世界があるのかもしれません。
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