先日、それはそれは久しぶりに花粉光環(かふんこうかん)を目にした。
美しい花粉光環(かふんこうかん)を見つけてテンションが上がることに変わりはないのだけれど、数年前と変わってしまったのは、少しだけ身構えてしまうようになったことだ。
花粉光環(かふんこうかん)というのは、簡単に言うならば太陽の周りをぐるりと取り囲むようにしてできる虹のこと。
橋がかかっているような虹も美しいけれど、このまあるい虹にはそれとはまた異なる見応えがあり、見る人を楽しませてくれたりもする。
少々厄介なのは、名前にも付いている通り「花粉」が関係している点である。
花粉光環(かふんこうかん)は、大気中に大量の花粉が舞い、その花粉が太陽の光の流れを変えてしまうことによってできる虹なのだ。
そして、花粉と一口に言っても様々な花粉があるけれど、
この時季に多く飛散しているスギ花粉は、粒子の一粒一粒の大きさが揃っており、更にその粒には小さな突起が付いているという。
このスギ花粉粒子の特徴が、光を鮮やかな虹色に分離させ、はっきりと濃い色をした、丸い虹の環を太陽の周りに作りあげるようだ。
大量のスギ花粉が大気中に舞えば、花粉光環(かふんこうかん)を見ることができるように思うけれど、
この時季は黄砂なども舞っており大気中は思いの外汚れている。
そのため、いつでも見ることができる虹ではないのだけれど、
雨が降った後のクリーンな空に大量のスギ花粉が舞うという条件が揃うと、太陽の周りに花粉光環(かふんこうかん)が出るというわけだ。
先日、花粉光環(かふんこうかん)が各地で確認された日の空を思い返してみると、
雨が降った翌日だったのか、何となくもやっとしていた空気が冷たさを含んだフレッシュな空気に変わっており、
気温も心地よく、思わず深呼吸をしたくなるような日だったように思う。
そのような心地よい状態で目にする花粉光環(かふんこうかん)の幻想的な美しさは格別なのだけれど、
花粉症に悩まされる者からすれば、大量のスギ花粉が舞っていることを知らせるサインでもあり、花粉光環(かふんこうかん)を「悪魔の環」と呼ぶ人もいる。
私自身、花粉症を発症するまでは美しいものでしかなかった虹なのだけれど、最近はスギ花粉大量飛散のサインとしても利用している虹である。
それでもテンションが上がってしまうのは、それが、人の手では真似することができない一期一会の美しさを放っているからではないかと思っている。
キレイとツライは紙一重ではありますが、「春に三日の晴れ無し」と申します。
雨が降った後はフレッシュな空を見上げて花粉光環(かふんこうかん)を探してみてはいかがでしょうか。
運が良ければ……、幻想的な美しさを放つ虹の環を目にすることができるかもしれません。
花粉光環(かふんこうかん)は、太陽の周りにできる虹です。
太陽そのものを直視しますと目を傷めてしまいますので、太陽そのものは建物や手などを使って隠し、太陽甲光が直接目に入らないように注意した上で楽しんで下さいませ。
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