静かな年もあるのだけれど、今年は友人や知人の転勤や転職の知らせが重なった。
転職組は、これまでとは全く異なる世界へと旅立つのだけれど、とても希望に満ちた空気を纏っていた。
大人になると、自分の日々を自分自身で創っていくことを求められるけれど、それは、誰かと同じでなくても良いということでもあるように思う。
そのようなことを、あれやこれやと考えていると、見送る側の友人からお餞別の話題を投げかけられた。
転勤や引っ越し、転職などで遠くへと旅立つ方を見送る立場の方も多いかと思いますので、今回は「お餞別」のことをおさらいしてみませんか。
既にご存知の内容だとは思いますが、ご自身の知識ボックスの中をセルフチェックするような気分で、柊希の脳内整理にお付き合いいただければと思います。
そもそもお餞別とは何なのか。
ここを確認しておきますと失敗も少ないように思うので、この辺りから簡単に。
現在は様々な意味を持った「お餞別」が存在しているのですが、もとは、お別れのご挨拶のようなものだったといいます。
この風習ができた当時は現代とは異なり、旅は危険を伴う命がけのものでした。
そして、何らかの理由で遠くに離れてしまったら、もう二度と再会することはできないような時代でもありましたから、
お餞別は、お付き合いの長さや仲の良し悪しに関係なく大勢で、これまでの感謝の気持ちと道中の安全、その後の幸せを祈る気持ちを込めて贈るお金や品物のことでした。
お餞別という文字に含まれている「餞」という文字は「はなむけ」と読むこともでき、
「お餞別」のことを「おはなむけ/はなむけ」とも言います。
ワタクシ、ちょっと恥ずかしいのですが、
ある年齢まで言葉のイメージ先行で「お花向け」だと思っていたことがあります。
しかし、「お花向け」は間違いで、正しくは「お鼻向け」です。
なんでも先人たちは、旅へ出る際には馬の鼻を目的地に向け、道中の安全を祈ったそうで、
馬の鼻を向けるという言葉を略した「おはなむけ/はなむけ」という言葉が使われるようになり、
そこには、旅(人生の)の安全(幸せ)を祈る意味が込められているようです。
今の私たちは、例え遠くに離れてしまったとしても会おうと思えば会うことができますし、
会いに行く移動の道中も危険を伴う命がけのものということはありません。
手紙があり、メールがあり、電話があり、テレビ電話があり、様々なツールによって瞬時に繋がることができるため、
「お餞別」という言葉本来の意味合いとは少し異なるものになりつつあります。
それでも、お作法というものは存在しておりますので、
「お餞別」の風習が生まれたストーリーを知っていると、ちょっとした迷いが生まれたときに何らかの機転を利かせて対応することができるように思います。
旅立つ方へ贈るお金や品物につける熨斗(のし)袋や熨斗(のし)紙に「お餞別」と記すのは間違いではありませんが、
今後もお会いする機会がある方なのかどうかといった点も考慮した上で「御餞別」と記すべきか、
「御礼」や「御祝」、「おはなむけ」などから選ぶとよいのではないでしょうか。
ただ、気を付けなくてはいけないポイントは、目上の方に贈る場合です。
「御餞別」と記したり、現金を贈ることは失礼にあたりますので、「御礼」や「御祝」、「おはなむけ」などの言葉を選び、現金は商品券やギフト券にすると間違いがありません。
また、結婚によって退職する方へ贈る際に使用する水引は結びきりのものを選び、「お餞別」ではなく「御祝」や「御結婚御祝」、「寿」と記す方が好ましいとされています。
お作法も時代が変わりますと、思わぬところで疑問を抱いたり、訳が分からなくなったり、しっくりこないというようなことも起きるものです。
そのようなときには、一度、原点を覗いてみると迷わなくなることもあるように思います。
今すぐに役立てられることではないかもしれませんか、
いざというときに慌てないためのセルフチェックに利用していただけましたら幸いです。
今回も、ワタクシ柊希の脳内整理にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
今日も良き日となりますように☆彡
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