幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

うそうそ時とカーネーションからのメッセージ。

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西の空の奥が淡いピンク色に染まっていた。

太陽と月が同時に存在するこの時間帯の空は、その時季ならではの表情をしているように思う。

窓を開け放つと、昼間の気温が高かったからなのか、昼間のそれが辺りに漂っているような気がした。

少し目を離していた隙に淡いピンク色は空から姿を消し、外には、明るくも暗くもない景色が広がっていた。

このような時間を表す言葉の中に、「うそうそ時」という言葉がある。

使う機会はそう多くはない言葉だけれど、どっち付かずの状態で不安を抱えていたり、落ち着かない状態を指す「うそうそ」という言葉に、

明るくも暗くもない景色が広がる、この不安定な時間帯を重ね合わせた表現だ。

こうして時々、言葉の成り立ちを覗いてみると、

あっという間に姿を消してしまう、明るくも暗くもない景色に意識を向ける、ほんの僅かな時間を持つことも難しい時代に生きているのだなと思ったりもする。

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移り変わる外の景色を横目で捉えながら部屋の掃除を終え、花瓶を手にキッチンへ移動した。

ひと月ほど前に蕾の状態で購入したカーネーションが全て花開き、そろそろ見納めを迎えようとしている。

購入時は、ほとんどが蕾の状態だったこともあり、ピンク色をした一般的な品種のカーネーションだと思っていたのだけれど、

開花すると、淡いピンク色にほんの少しだけ薄紫色を溶かし混ぜたような灰桜色をしていた。

ちょうどその日の、うそうそ時少し前の空のような色である。

そしてこのカーネーションは、普段目にしているそれらとは異なる品種だったようで、雰囲気としてはシャープな八重桜といった姿をしており、これまで見たカーネーションの中で一番大人向きという印象のものだった。

想像していた以上に素敵なカーネーションだったこともあり、品種を調べているのだけれど、答えに辿り着くことが出来ぬままである。

キッチンのシンクで随分と背丈が短くなってしまったカーネーションの茎を水切りし、薄めの砂糖水を入れた球体型の花瓶に生け直した。

砂糖水を花瓶に入れる水に使うと水が腐りやすくなるため、水替えは、毎日もしくは一日置きに行わなくてはいけないのだけれど、

秋から春先辺りまでは、砂糖水に花を生けると切り花が一か月程もってくれるため、我が家の切り花には、専ら砂糖水である。

そして、気温が上がり、水が腐りやすくなる4月中旬辺りから夏場にかけての花瓶の中の水には、食器洗い専用洗剤を1、2滴入れて泡立たないように軽く掻き混ぜ、花を生けるのだ。

ここでも、食器洗い専用洗剤を使うの!?と突っ込まれてしまいそうだけれども、

こうすることで水が腐るのを遅らせることができ、水の吸い上げも良いため、私はここでも使うのだ、食器洗い専用洗剤を。

切り花を長持ちさせるための専用液は、効きが良くて重宝するのだけれど、自宅にあるものでも十分こと足りるため、このスタイルである。

見納めを迎えようとしているカーネーションだけれど、水替え後は再び、イキイキと輝きだした。

輝くのに過ぎた時間は関係ない、そう言っているようにも見えた。

カーネーションから、もうひと頑張りのチカラを受け取り書斎へ戻った日。

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