幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

木の芽味噌から田楽までの数珠繋ぎ。

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出かけついでにスーパーへ立ち寄ると木の芽味噌が売られていた。

木の芽味噌は、食べる分ずつ作るしかないと思っていたのだけれど、こんなにも手軽なものがあるのかと思わず商品を手に取った。

ゼリーや液体状の栄養補助食品などが入れられているようなパウチに入っており、どれも春の息吹を感じるような、鮮やかな若葉色をしていた。

その日は木の芽味噌を買って帰ることはしなかったけれど、そろそろ木の芽味噌を使って田楽でも、という気分になった。

いつだったか忘れてしまったけれど、友人とドライブへ出かけたときのことだ。

その日は、念のためにと持参していたストールが大活躍するような肌寒さを感じるような日だったのだけれど、満開の桜はとても美しく、

風が吹けば豪快に舞う、既に散った花びらにさえも心を鷲づかみにされるような景色を見ることができた。

しかし、体が芯から冷えてしまいそうだったため、そこにあった花見茶屋で温かいものをいただきながら花見をすることにした。

お団子やお抹茶、甘酒に麺類といった豊富なメニューの中から、私たちは自家製の木の芽味噌をたっぷり乗せているらしい豆腐田楽を頼むことにした。

田楽は、好みの味噌を串に刺した豆腐に塗って焼く、串料理の一品。

季節や地域によって使われる味噌は様々で、柚子味噌、黄味味噌、ふき味噌、胡桃味噌などあるけれど、この時季と言えば山椒の若葉を使った木の芽味噌である。

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私は料理としての田楽のことしか知らなかったのだけれど、そのメニューには手書きで、田楽の由来が記されていた。

豆腐田楽は、平安時代に生まれた一品であること。

当時の人々は五穀豊穣を祈り、田植えやお祭りのときに太鼓に合わせて踊る、奉納舞の風習があり、これを田楽踊り(田楽舞)などと言っていたのだそう。

そのうち、この奉納舞である田楽踊り(田楽舞)を専門職とする人々が表れ彼らは「田楽法師」と呼ばれるように。

この田楽法師たちの装いは、白い袴にカラフルな色ものの上着を羽織ったもので、

田楽踊り(田楽舞)の中には、竹馬のような一本の棒に乗って跳ねながら踊るシーンもあったそうで、

田楽法師と串に刺した豆腐に色がついた味噌を塗って焼く豆腐田楽が似ているということで、この串に刺した豆腐料理を田楽と呼ぶようになったのだそうだ。

田楽法師なるものを実際に目にしたことがない私は、久しぶりに口にした豆腐田楽の美味しさに気持ちを持って行かれ、

そう言われればそう見えるような気もするけれどという印象だったのだけれど、目に入るものがシンプルだった当時に人たちにはとても印象的な光景だったのだろうと思う。

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豆腐田楽。

私は水気を切った木綿豆腐をフライパンで焼いたものに味噌を塗り、

味噌に焼き色を付ける程度にグリルで焼きなおすという少々ズボラな調理をしてしまうのだけれど、

木の芽味噌も簡単に手に入ることが分かったことだし、たまにはしっかりと串打ちをした豆腐田楽を作ってみようかしらと思った日である。

田楽料理を召し上がる機会がありましたら、田楽法師や田楽踊り(田楽舞)のことをチラリと思い出していただけましたら幸いです。

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