家電量販店内を移動しているとき、ずらりと並べられているパーティーゲームのひとつに目が留まった。
黒ひげ危機一発である。
樽の中央に差し込むように設置された馴染みある海賊の姿に「まだあるんだ」と思った。
シンプルなルールと、海賊がいつ飛び出すか分からないスリルと緊張感は、幅広い年齢同士でも楽しむことができるからなのか、海賊を他のキャラクターにアレンジしたものなども並んでいた。
いつだったか、発売当初の「黒ひげ危機一発」は、黒ひげ海賊を飛ばした人が負けというルールではなかったと聞いたことがある。
このゲームはもともと、樽の中にいる黒ひげを縛っている縄を、剣を刺して切り、黒ひげを樽から救い出すというものなので、
黒ひげを樽の中から解放した人(=飛ばした人)が勝ちというルールだったという。
しかし、とあるテレビ番組内で、黒ひげを飛ばした人が得点を没収されるという番組内ルールのもと黒ひげ危機一発が使われ、視聴者にはこのときの印象が強く残ったようなのだ。
その後、黒ひげ危機一発は新しいルールに変更されたこともあったようなのだけれど、
最終的には、黒ひげを飛ばしてしまった人が負けというルールに決まり、現在に至っているというから、
飛ばした人が勝ちというルールで遊んだことがあるという方は、もしかしたら貴重な体験をしたのかもしれない。
このような流れを経て今も楽しまれている黒ひげ危機一発だけれども、知人のご家庭では黒ひげ危機一発によるこのような出来事があったという。
当時、まだ小さかったお子さんたちに黒ひげをプレゼントすると、子ども達はすぐに夢中になり、毎日のように遊んでいたというう。
その子どもたちも学校へ通うようなり、宿題やテストといったものをするように。
あるとき、子どもがノートに「危機一発」と書いていたため、知人が「危機一髪」が正解だと指摘すると、お子さんは久しぶりに黒ひげを引っ張り出してきて「ここには“一発”と書いてある」と詰め寄ってきたというのだ。
子どもの記憶力というものは、柔軟で至る所で発揮されているものである。
「危機一髪」を「危機一発」と間違えるとき、私たちの脳は過去に遊んだ黒ひげの海賊を思い出しているのだろうか。
そのようなことを思った「黒ひげ危機一発」であった。
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